腕足類(読み)わんそくるい(英語表記)Brachiopoda; lamp shell

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

腕足類
わんそくるい
Brachiopoda; lamp shell

触手動物門腕足綱に属する種類の総称。体は2枚のでおおわれ,一見二枚貝類に似るが,二枚貝類では体の左右に貝殻がある (したがって両殻を右殻,左殻という) のに対し,本類では体の背腹に殻をもつため背殻,腹殻と呼ぶ。殻は一般に石灰質であるが,革質のものもある。殻の内部には2枚の外套膜と2個のおよび内臓嚢がある。腕は半円形または角状に巻き,そこに触手が1列に並び,内部に腕骨がある。幼生はトロコフォラで,プランクトン生活をする。単独生活性で雌雄異体。多くは殻孔から長い肉柄を出して,あるいは直接,岩などに付着するが,砂泥中にすむものもある。タテスジホオズキガイミドリシャミセンガイなど約 260種が知られているが,化石種が多く (約 8000種) ,現代よりは古生代に繁栄していた類である。

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百科事典マイペディアの解説

腕足類【わんそくるい】

触手動物腕足綱の総称。軟体部は2枚の殻で包まれるが,殻は二枚貝類と違って背腹に位置する。多くは海生で他物に着生するか,砂泥中にもぐって生息。移動する能力はない。カンブリア紀初期にすでに500種以上存在し,古生代に最も栄えたが,中生代以降は衰退したが,その後のあらゆる地質時代から知られ,シャミセンガイ(汽水域にすむ),ホオズキガイチョウチンガイなど約70属250種が現存する。

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世界大百科事典 第2版の解説

わんそくるい【腕足類】

古生代に繁栄した海生無脊椎動物で,中生代以降は衰退の一途をたどり,現在の生物界の中ではきわめて小さな位置を占めているにすぎない。したがって,地質学古生物学では重要視されているが,生物学や海洋学の中ではあまり重用されず,また一般にもなじみの薄い生物といえる。 軟体部が2枚の殻によって包まれているという基本的な形態が二枚貝類とよく似ているが,二枚貝類が形も大きさもほぼ等しい2枚の殻をもっているのに対し,腕足類の殻は形も大きさも違う。

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大辞林 第三版の解説

わんそくるい【腕足類】

腕足綱の触手動物の総称。大部分が海産。体は背腹に付いた二枚の殻でおおわれる。触手をもち、肉質の柄で石などに付着する。雌雄異体。無関節類と有関節類に二大別される。デボン紀に盛栄し、示準化石とされる。ホオズキガイ・シャミセンガイなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

腕足類
わんそくるい

触手動物門の一綱Brachiopodaを構成する動物群。すべて海産で、シャミセンガイの仲間(無関節亜綱)とホオズキガイの仲間(有関節亜綱)とに二大別される。2枚の殻と、殻の根元から出る肉茎とよばれる柄をもち、海底の砂泥中に潜るか、岩などに付着してすむ。外見上、軟体動物の二枚貝類とよく似ているので間違われるが、2枚の殻は体の背腹に位置し、互いに形が異なっていることで区別できる。殻長数センチメートルくらいの種が多い。
 殻の中には、内臓の詰まった軟体部、殻を分泌する膜状の外套(がいとう)、そして触手冠が収まっている。触手動物門のほかの2綱(コケムシ類とホウキムシ類)に比べて、腕足類の触手冠はとくによく発達していて大きく、特別に腕(うで)とよばれる。この腕を支えるために、背側の殻の内側には腕骨(わんこつ)とよばれる構造が発達している。種の同定には、化石種の場合はとくに、この腕骨の形が重要となる。
 消化管はU字形で、肛門(こうもん)は触手冠の外側に開く。ホオズキガイの仲間は肛門をもたない。血管系は閉鎖型。排出器と生殖輸管を兼ねた1対の腎管(じんかん)をもつ。雌雄異体。シャミセンガイ類の幼生は2枚の殻をもち、しばらく浮遊したのちに着底して変態せずにそのまま成体となる。ホオズキガイ類の幼生は殻をもたず、孵化(ふか)後1日ほどで着底し、成体へと変態する。
 腕足類は、古生代カンブリア紀に出現した古い動物群である。各地質時代ごとに、それぞれ特徴的な多種多数の化石が産出するため、古生物学や地質学においても重要な動物群である。なお、分類学上、この動物群を門の段階に昇格させて扱うこともある。[馬渡峻輔]

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精選版 日本国語大辞典の解説

わんそく‐るい【腕足類】

〘名〙 腕足動物門に属する、シャミセンガイやホオズキガイなどを含む動物群。海産。からだは背腹に付いた非相称の二枚の石灰質の殻に包まれ、肉質の柄で他物に定着する。軟体は二枚の外套膜に包まれ、口の両側方に二個の触手を担う台座がよく発達し、複雑な腕となり、そこに触手列が見られる。雌雄異体。現生の種類は古生代の地質から発見される化石と大きな変化はなく、「生きた化石」の一つとされている。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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