スポーリング(その他表記)spalling

改訂新版 世界大百科事典 「スポーリング」の意味・わかりやすい解説

スポーリング
spalling

耐火物剝落(はくらく),崩壊する現象をいう。耐火物は高温で使用されるので,加熱冷却にともなう温度変化を受ける。一般に耐火物の熱伝導率は1~10kcal/mh℃と低く,熱膨張率は(5~10)×10⁻6石英ガラスの10倍以上も大きいために,熱変化によって大きな応力が生ずる。また,耐火物は使用中に変質して内部ひずみを生じ,これに熱変化が加わることによって応力を助長し,崩壊する。スポーリングはこの応力がその耐火物の強度を超えた場合におこるものである。したがって,スポーリングに強いか弱いかは,熱膨張率の大小,熱伝導率の大小,ヤング率の大小,引張強さの大小,耐火物の大きさなどで決まる。なかでも熱膨張率が最も大きな要因であるが,これは材質に固有のものであるので,組織により応力を吸収しやすいように,耐火煉瓦を製造するうえで工夫がなされている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スポーリング」の意味・わかりやすい解説

スポーリング
spalling

耐火物が衝撃などで破壊する現象。機械的衝撃,構造的原因によって割れて破壊する場合もいうが,普通は熱的スポーリングのことをさす。耐火物は一般に熱伝導率が大きくないので,急熱急冷すると,内外温度差ができ,熱膨張の差で,ひずんで破壊する。一般に高級耐火材料ほどスポーリングを起しやすく,マグネサイト,クロマイトなどは,耐熱性は十分であるが,熱の高低に対する膨張,収縮が大きく,高熱部に使用困難なことが多いので,その場合は煉瓦積みよりスポーリングの影響の少い粉粒のスタンピングのほうがよい。

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