スワンメルダム(読み)すわんめるだむ(英語表記)Jan Swammerdam

精選版 日本国語大辞典 「スワンメルダム」の意味・読み・例文・類語

スワンメルダム

  1. ( Jan Swammerdam ヤン━ ) オランダの博物学者、比較解剖学者。多く昆虫の解剖を行ない、昆虫分類の基礎を築く。また、はじめて赤血球の形を調べて発表した。主著「自然の聖書」。(一六三七‐八〇

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スワンメルダム」の意味・わかりやすい解説

スワンメルダム
すわんめるだむ
Jan Swammerdam
(1637―1680)

オランダの博物学者、解剖学者。アムステルダムの生まれ。薬剤師で物集めの趣味をもつ父の影響を受け、幼いころより好奇心が旺盛(おうせい)であった。医学を学ぶためにライデン大学に入学した(1661)が、彼の収集した昆虫は学友たちを驚かせたという。フランスにも出かけ、デカルト主義的機械論について議論もした。その影響は肺の運動の説明に反映され、この呼吸の研究医学博士となった(1667)。また筋肉の収縮においては形は変化するが体積は変化しないことを証明し、筋肉への物質の流入説を否定した。しかし彼のおもな業績顕微鏡観察によるもので、とくに大学入学以前の赤血球の発見(1658)が有名である。また昆虫学の祖ともいわれ、多くの種の昆虫を解剖し、その生殖法や生活史を記載した。これらの研究は生前あまり知られることがなかったが、死後ブールハーフェによりまとめられ『自然の聖書』Biblia naturae2巻(1737~1738)として出版された。

[大林雅之]

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改訂新版 世界大百科事典 「スワンメルダム」の意味・わかりやすい解説

スワンメルダム
Jan Swammerdam
生没年:1637-80

オランダの解剖学者,昆虫学者。アムステルダム生れ。ライデン大学に入学,ホールネJ.van Horne,F.シルビウスに師事。解剖のテクニックに優れ,カエルの筋-神経標本を用いての筋収縮実験を初めて行いクローンW.Croone,N.ステノらに紹介,精気流入による筋肉拡張説否定の動きに刺激を与えた。また,アムステルダムで解剖グループを結成,多種類の動物解剖を行ったほか,顕微鏡を用いて昆虫の内部構造,発生過程を研究し,アリストテレス以来の昆虫像を一変させた。しかし,社会的には恵まれず,R.deグラーフ,ステノらとの優先権争いをひきおこしたうえ,健康を害し,晩年は宗教団体の活動に没頭,デカルト的合理主義と神秘思想の間を揺れ動いた。生前,出版されることのなかった昆虫研究などの科学上の著作はH.ブールハーフェによって《自然の聖書Biblia naturae》(1737-38)として世に出されたが,これには,赤血球の発見(1658),リンパ管における弁の発見(1664)などの業績が含まれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スワンメルダム」の意味・わかりやすい解説

スワンメルダム
Swammerdam, Jan

[生]1637.2.12. アムステルダム
[没]1680.2.15. アムステルダム
オランダの博物学者。医学を修めたが医者にはならず,各種動物の顕微鏡研究を進め,M.マルピーギ,A.レーウェンフクとともに三大顕微鏡学者の一人とされる。特に昆虫の研究は著名で,チョウの変態を観察,蛹中に成虫が折りたたまれて入っている事実を見出したことから,前成説を主張したことが知られている。 1658年赤血球を初めて記載し,またリンパ管の弁を発見 (スワンメルダム弁と呼ばれる) 。カエルの発生の研究も進めた。著書『無血動物概観』 Algemeene verhandeling van bloed-loose diertjens (1669) 。

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百科事典マイペディア 「スワンメルダム」の意味・わかりやすい解説

スワンメルダム

オランダの博物学者。ライデンで医学を修め,一時パリで研究。顕微鏡による諸動物,特に昆虫の精密な観察,解剖を行い,その記録は死後ブールハーフェによって《自然の聖書》(1737年―1738年)として出版されたが,これには赤血球,リンパ管の弁などの初記載が含まれる。

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世界大百科事典(旧版)内のスワンメルダムの言及

【前成説】より

…17世紀になって顕微鏡観察がはじまり,それまでは頭部と心臓しか出現していないと思われていた時期に,胚体の諸部分がすでに形成されている事実が,M.マルピーギによって発見された(1672)。またJ.スワンメルダムは,さなぎのなかに成体が折りたたまれて入っていることを明らかにした(1669)。この段階では精子の存在は知られておらず,卵に微小成体が存在すると理解されたので,この型の前成説は卵原説と名づけられている。…

※「スワンメルダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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