セルズニック(読み)せるずにっく(英語表記)David O. Selznick

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セルズニック」の意味・わかりやすい解説

セルズニック
せるずにっく
David O. Selznick
(1902―1965)

アメリカの映画製作者。黄金期ハリウッドを代表する独立プロデューサー。ペンシルベニア州ピッツバーグの生まれ。映画製作者だった父親のもとで映画全般について学んだのち、1926年、父親の元パートナー、ルイス・B・メイヤーLouis Burt Mayer(1884―1957)のもと、MGMのB級映画班の製作補となる。その後パラマウントを経て、1931年、RKOの製作担当副社長に、1933年にはふたたびMGMの製作者に就任。そして1936年、自らの製作会社セルズニック・インターナショナルを設立。企画から脚本、撮影、編集、宣伝などに至るまでを強力に統轄する独特の製作手法で多くの成功作を生み出す。その集大成ともいえる『風と共に去りぬ』(1939)、またイギリスから招聘(しょうへい)したアルフレッド・ヒッチコック監督による『レベッカ』(1940)では、ともにアカデミー作品賞を受賞。戦後はヨーロッパにも進出、共同製作にも乗り出した。代表作に『晩餐(ばんさん)八時』(1933)、『スタア誕生』(1937)、『ゼンダ城の虜(とりこ)』(1937)、『君去りし後』(1944)、『白昼決闘』(1946)などがある。

[宮本高晴]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セルズニック」の意味・わかりやすい解説

セルズニック
Selznick, Philip

[生]1919.1.8. ニューアーク
アメリカの社会学者。 1947年にコロンビア大学学位を得,のちシカゴ大学を経て 57年からカリフォルニア大学で研究を行なっており,同大学の法律社会研究所所長などを歴任。彼の組織学は学界でも高く評価されており,『TVA大衆』 TVA and the Grass Roots (1949) にもみられるように,現実の組織を材料にその構造や機能を分析している。組織防御メカニズムとしての「防衛イデオロギー」 protective ideology,「摂取」 co-optationに関する研究,また組織とリーダーシップの研究などに多くの成果がみられる。経営者のリーダーシップを「会社の有機的全体としての性格と技術的必要とを調和させる」ことに求めるなど,今日的な問題の解決への手掛りを与えるようなものも数多くある。その他『組織的武器』 The Organizational Weapon (52) ,『リーダーシップと経営』 Leadership and Administration (57) などの著書がある。

セルズニック
Selznick, David Oliver

[生]1902.5.10. ピッツバーグ
[没]1965.6.22. ハリウッド
アメリカの映画制作者。スター・システムと大作主義で最もよくハリウッドの性格を代表し,その作品例に『風と共に去りぬ』 Gone with the Wind (1939) がある。

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