ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペック」の意味・わかりやすい解説
ペック
Peck, Gregory
[没]2003.6.12. カリフォルニア,ロサンゼルス
アメリカ合衆国の俳優。フルネーム Eldred Gregory Peck。すらりとした長身と甘い声,スクリーンで演じる誠実な人物像で観客を魅了した。薬剤師の息子として生まれ,カリフォルニア大学バークリー校の医学部進学課程に入学。在学中に演劇への興味が芽生え,卒業後ニューヨークに移住,ネイバーフッド・プレイハウスで演劇を学んだ。1942年ブロードウェーで初舞台を踏み,『炎のロシア戦線』Days of Glory(1944)でハリウッド映画界にデビュー。脊髄の負傷により第2次世界大戦中の兵役を免除されたため,1940年代は主役級の俳優として抜群の人気を集めた。『王国の鍵』The Keys of the Kingdom(1944),『紳士協定』Gentleman's Agreement(1947)などでアカデミー賞にノミネート。同時代の大物監督の作品に続々と出演し,ヘンリー・キング監督の『頭上の敵機』Twelve O'Clock High(1949)や『キリマンジャロの雪』The Snows of Kilimanjaro(1952)では主人公の複雑な心理をみごとに表現。『ローマの休日』Roman Holiday(1953)ではオードリー・ヘップバーンの相手役を務めた。『アラバマ物語』To Kill a Mockingbird(1962)でアカデミー賞主演男優賞を受賞。市民活動や慈善事業,政治などにも力を注ぎ,アメリカ癌協会や映画芸術科学アカデミーなどの代表職も務めた。
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