日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャサリン」の意味・わかりやすい解説
キャサリン
きゃさりん
Catherine of Aragon
(1485―1536)
イギリス王ヘンリー8世の第1王妃。スペイン王(もとのアラゴン王)フェルナンド2世とその妃(もとのカスティーリャ女王)イサベル1世との間に生まれた。イギリスの王太子アーサーと1501年結婚したが、夫の死によりその弟ヘンリー8世の妃となった(1509)。初めは統治についても協力、13年、王の不在中にスコットランド軍が進攻してきた際、王妃が防衛策を講じた。だが男子に恵まれずしだいに王の焦燥が高じ、アン・ブリンを恋したことも加わって王は離婚を決意。これがイギリス宗教改革の直接的原因となった。33年ついに彼女は王妃の地位を失ったが、自身はヘンリーとの結婚の正当性を疑うことがなかった。娘メアリー(後のメアリー1世)からも遠ざけられ孤独のうちに死去。
[植村雅彦]