改訂新版 世界大百科事典 「セロジネ」の意味・わかりやすい解説
セロジネ
Coelogyne
セロジネ属Coelogyneに属する常緑のラン。インド・ヒマラヤ域から東南アジア,さらにオセアニアにかけて約120種が分布し,樹木に着生,もしくは半着生している。日本にはヒマラヤやマレーシア地域原産のものが30種あまり導入され,温室で栽培されている。茎に偽球(バルブ)をつけ,その頂部に常緑の革質葉を1~2枚つける。バルブの頂部あるいは基部から出る花茎に総状に,数花から多数の花(ときに1~2花)をつける。花は白色が多いが,熱帯産のものには黄緑色のものがある。また唇弁には白色で,黄,橙,褐色の斑紋や条紋を有するものが多い。ヒマラヤ産のセロジネ・クリスタータC.cristata Lindl.やセロジネ・コリンボーサC.corymbosa Lindl.は白色の大きな花を多数咲かせる。またマレーシア産のキンヨウラクC.dayana Riechb.f.は長さ1mにもなる花茎を垂下させ,多数の花をつけ,セロジネ・スペシオーサC.speciosa Lindl.は直径10cmにもなる大型の花を1~3花だけつける。
ヒマラヤ原産種のなかには耐寒性を有し,無加温室でも越冬できるものがあるが,多くのものは冬は最低5℃以上を必要とし,多湿にしておく。春から秋までは弱光下におき,水と肥料を与える。
執筆者:江尻 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報