セント・ヘレナ島(読み)せんとへれなとう(英語表記)Saint Helena

翻訳|Saint Helena

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セント・ヘレナ島」の意味・わかりやすい解説

セント・ヘレナ島
せんとへれなとう
Saint Helena

南大西洋にあるイギリス領の火山島。アフリカ大陸西岸の西方約1900キロメートル、南緯15度57分、西経5度45分に位置している。面積122平方キロメートル、人口7300(2001推計)。中心都市はジェームズタウンJamestown。周囲を断崖(だんがい)に囲まれた火山島で、内陸は平均標高500~600メートルの高原状地形をなし、最高峰はアクテオン山(825メートル)。気候は温暖で、気温は年間通して18~29℃、年降水量も300~900ミリメートルある。

 1502年ポルトガル人J・ノバ・カステリャが到達、命名した。ポルトガル領、オランダ領などを経て、1673年イギリス東インド会社の所有となり、1834年以後はイギリス領となった。1815年ナポレオンがこの島に流刑され、21年に死亡、以後ナポレオン終焉(しゅうえん)の地として世界的に知られた。かつては帆船交通の寄港地であったが、汽船発明およびスエズ運河開通によって、その重要性は失われた。行政的には、北西1200キロメートルのアセンション島、南南西3400キロメートルにあるトリスタン・ダ・クーニャ島とともに、イギリスから派遣されたセント・ヘレナ総督により統治される。耕地は全面積の3分の1以下で、フォーミウム(ニュージーランド原産の繊維植物)とジャガイモが栽培され、牧畜も行われる。財政はイギリスからの援助関税からなり、輸出入もほとんどがイギリス向けである。島民はヨーロッパ人、アフリカ人、インド人の混血を主とし、キリスト教徒が多い。南アフリカ共和国ケープ・タウンとの間に海底ケーブルが敷かれている。島の交通手段は船であるが、87キロメートルに及ぶ舗装道路も開通している。

[林 晃史]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セント・ヘレナ島」の意味・わかりやすい解説

セントヘレナ島
セントヘレナとう
Saint Helena

南大西洋,南緯15°57′,西経5°42′,アフリカ南西岸の西方 1950km沖にあるイギリス海外領土の火山島。中心地,主港はジェームズタウン。海岸は断崖が多く,南東貿易風海流の影響で気候は快適。1502年ポルトガル人が到来,17世紀前半にイギリスとオランダがインド航路の中継基地として領有を争い,一時オランダ領となったが,1673年イギリス東インド会社の所有となり,1834年以降国王の直轄植民地。1815年のワーテルローの会戦で敗れたナポレオン1世の流刑地および終焉(1821)の地として有名。帆船時代には海上交通の要衝であったが,汽船の発達と,1869年のスエズ運河開通により重要性は低下。第2次世界大戦中はイギリス海軍の基地,今日では北西方のアセンション島とともに遠距離通信の中継地として重要。アマ,野菜,果物の栽培,牧畜が行なわれる。漁業はおもにマグロ漁が行なわれる。住民はヨーロッパ人,アフリカ人,インド人の混血が多い。面積 122km2。人口 3800(2003)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android