日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ゼネラル・ダイナミックス
ぜねらるだいなみっくす
General Dynamics Corp.
アメリカの大手軍需企業。略称はGD。世界初の原子力潜水艦ノーチラス号を建造したことでも知られる。1952年、潜水艦メーカーのエレクトリック・ボート(その歴史は1899年までさかのぼる)の資産と事業を引き継ぎ、ゼネラル・ダイナミックスとしてデラウェア州に設立された。以降、単なる潜水艦メーカーから総合軍需会社に急速に転換していった。その急成長の秘密は、他企業の合併・吸収にあったが、1954年航空機メーカーのコンソリデーテッド・バルティーConsolidated Vultee Aircraft Corp.を吸収したのを手始めに、多数の軍需企業を吸収合併していった。この結果、1960年には、造船業に加えて航空機、電機、化学、建築材料の諸産業にまたがる巨大コングロマリットに膨れ上がり、その売上高も設立時の3倍以上に増大した。その後、コンベヤー部門の失敗などで、一時経営危機に陥ったが、1980年代は国防費支出増大の恩恵で業績も安定した。航空自衛隊のFS-X(次期支援戦闘機)の開発協力などで、日本との関係も浅くない。
1990年代に入りソビエト連邦の崩壊後、アメリカ合衆国の軍事予算の削減は軍需産業の縮小とその整理統合を引き起こした。兵器とそのシステムを合衆国政府および同盟国へ供給することを主要業務とするゼネラル・ダイナミックスも、その影響を受けた。同社はこの危機を海軍部門、戦闘システム部門という中核業務の強化によって乗り切り、1995年から1997年にかけては、ほぼ16億ドルをその強化のために投資した。海軍部門は、原子力潜水艦や海軍戦闘部隊用施設の設計建造にかかわり、戦闘管理サービスも行っている。戦闘システム部門は、戦闘用車両、高度技術兵器、防空システムなどの設計製造にかかわる軍需品製造の指導的部門である。
[佐藤定幸・萩原伸次郎]
その後の動き
1999年、ガルフストリーム・エアロスペース社Gulfstream Aerospace Corporationを買収し、商業用ジェット機製造においても有力メーカーとなっている。2009年時点で、航空、戦闘システム、船舶システム、情報システム・テクノロジーという四つの事業部門をもつ。2008年の売上高は293億ドル、純利益24億5900万ドル。
[編集部]