ゾシモス(読み)ぞしもす(英語表記)Zosimos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゾシモス」の意味・わかりやすい解説

ゾシモス
Zōsimos

5世紀末から6世紀頃のビザンチンの歴史家。財務高官だったほかはその生涯について知られていない。ソフィストアスカロン,あるいはガザゾシモスと同一人物か否か疑問。ローマ皇帝アウグスツス (在位前 27~後 14) からアラリックローマ占領 (410) までの『ローマ史』 Historia nova (6巻) を著わす。プロブス帝 (在位 276~282) からディオクレチアヌス帝 (在位 284~305) までの時代の記述が欠けているが,4世紀,特に 395~410年について正確な記述を残しており,史料として重要。反キリスト教的立場で,ローマの衰退をローマ宗教無視の結果であるとし,キリスト教を公認したコンスタンチヌス1世 (大帝)テオドシウス1世を批判,背教者ユリアヌスに同情的である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾシモス」の意味・わかりやすい解説

ゾシモス
ぞしもす
Zosimos

生没年不詳。ギリシア系の歴史家。彼の経歴については、ビザンティン帝国役人であったこと以外ほとんど知られていない。おそらく500年ごろに、アウグストゥス帝から410年のアラリックのローマ市侵入時までのローマ帝国の歴史である六巻の『新史』Historia Novaを執筆した(ただし、ディオクレティアヌス帝時代については欠落)。とりわけアルカディウス、ホノリウス両帝の時代についての詳細で貴重な史料を提供している。彼は異教徒であって、反キリスト教の立場から、ローマ帝国の没落の原因を伝統的な異教の祭祀(さいし)の否定に帰し、とくにコンスタンティヌス1世とテオドシウス1世には敵対的であり、一方ユリアヌス帝については好意的な態度をとっている。

[島 創平]

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