ゾルンホーフェン動物群(読み)ぞるんほーふぇんどうぶつぐん(英語表記)Solnhofen fauna

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゾルンホーフェン動物群」の意味・わかりやすい解説

ゾルンホーフェン動物群
ぞるんほーふぇんどうぶつぐん
Solnhofen fauna

南ドイツのバイエルン地方に分布する上部ジュラ系石灰岩から産する保存のよい動物化石群。この石灰岩がよく発達するゾルンホーフェン地域にちなんで、この名がつけられた。この地域から採掘される石灰岩は白色で細粒、緻密(ちみつ)なため、石版印刷に利用され、別名石版石ともよばれる。

 石灰岩から産する化石は、始祖鳥翼竜類、小形の恐竜類、シーラカンスなどの魚類カブトガニなどの甲殻類トンボなどの昆虫、アンモナイト類・箭石(やいし)類・原始的タコ類などの頭足類、二枚貝類、浮遊性のウミユリ類、クラゲ類、有孔虫類、放散虫類、コッコリス藻類)などで、計約450種が報告されている。化石の保存はきわめてよく、始祖鳥の羽毛や翼竜の皮膚なども完全に近い状態で残されている。化石群の内容や保存状態からみて、この地方で産するゾルンホーフェン石灰岩はサンゴ礁内側の波の静かな泥混じりのラグーン礁湖)で堆積(たいせき)したものと思われる。

[棚部一成]


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