南ドイツのバイエルン地方に分布する上部ジュラ系石灰岩から産する保存のよい動物化石群。この石灰岩がよく発達するゾルンホーフェン地域にちなんで、この名がつけられた。この地域から採掘される石灰岩は白色で細粒、緻密(ちみつ)なため、石版印刷に利用され、別名石版石ともよばれる。
石灰岩から産する化石は、始祖鳥、翼竜類、小形の恐竜類、シーラカンスなどの魚類、カブトガニなどの甲殻類、トンボなどの昆虫、アンモナイト類・箭石(やいし)類・原始的タコ類などの頭足類、二枚貝類、浮遊性のウミユリ類、クラゲ類、有孔虫類、放散虫類、コッコリス(藻類)などで、計約450種が報告されている。化石の保存はきわめてよく、始祖鳥の羽毛や翼竜の皮膚なども完全に近い状態で残されている。化石群の内容や保存状態からみて、この地方で産するゾルンホーフェン石灰岩はサンゴ礁内側の波の静かな泥混じりのラグーン(礁湖)で堆積(たいせき)したものと思われる。
[棚部一成]
南ドイツのバイエルン地方のジュラ紀後期層であるゾルンホーフェン石版石という石灰質岩中に産する,保存がきわめて良好な化石動物群。石版画(リトグラフ)の原版に最適という世界でも著名なこの泥灰岩は,構成粒子が細かく,かつ礁湖内堆積物のため物理的変形をほとんど受けていないことが,保存良好化石を多産する原因となっている。
動物群は種数,量ともに豊富で,これまでにクラゲから始祖鳥にいたる海生,陸生それに空中生活をしていたものまで,約730種の動物化石からなる。随伴する植物は約25種とされる。中でも昆虫(180種)と魚類(150種)とが圧倒的に多く,始祖鳥は破片や羽毛片を含め7体が知られている。各種動物の個体はもちろん,アンモナイトが海底を転がった跡,カブトガニやエビ類の這い跡,昆虫が泥底上で悶絶した舞い跡など,古生態学的に興味深いものも多く発見されている。
執筆者:浜田 隆士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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