ダンコウバイ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダンコウバイ」の意味・わかりやすい解説

ダンコウバイ(檀香梅)
ダンコウバイ
Lindera obtusiloba

クスノキ科の落葉低木で,ウコンバナ,シロヂシャなどともいう。関東地方より南の山地に生え,アジア東部にも分布する。枝はやや太くまばらで,広楕円ないし卵円形の葉が互生し,葉の先端が普通は3裂するが,幼樹や枝先の葉は裂けずに卵形のことがある。葉裏は帯白色で葉脈に沿って淡褐色の長い毛がある。早春,葉の出る前に散形花序をなして黄色の小花を多数つける。雌雄異株果実球形の液果で赤く熟する。全株にかすかに芳香がある。果実から油をしぼって灯油とし,また朝鮮半島では冬柏油と呼んで高級な頭髪油とされる。なお,ロウバイ科のトウロウバイダンコウバイと呼ばれるが,別種である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダンコウバイ」の意味・わかりやすい解説

ダンコウバイ
だんこうばい / 檀香梅
[学] Lindera obtusiloba Bl.

クスノキ科(APG分類:クスノキ科)の落葉小高木。高さ6メートルほどになり、幹は灰褐色、枝は緑色。葉はやや厚く、広卵形で、普通、3浅裂し、長さ5~15センチメートル。花は2~3月、散形花序につき、黄白色、葉より早く開く。雌雄異株。果実は球形の液果で径約7ミリメートル、赤色から黒紫色に熟す。関東地方以西の本州から九州および朝鮮半島、中国に分布し、山地に生える。花がウメに似ており、材がビャクダン檀香)のように香りがあるためこの名がある。花が黄色なのでウコンバナ(欝金花)ともいう。

[門田裕一 2018年8月21日]


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