ダートマス会議(読み)ダートマスかいぎ(その他表記)Dartmouth workshop

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダートマス会議」の意味・わかりやすい解説

ダートマス会議
ダートマスかいぎ
Dartmouth workshop

初めて人工知能ということばが定義された会議。1956年夏にアメリカ合衆国ニューハンプシャー州のダートマス・カレッジで開催された。正式名称は,人工知能に関するダートマス夏期研究会 The Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence。出現してまもないコンピュータに人間のように知的な情報処理をさせたい,と考えた研究者たちが,ロックフェラー財団から財政的援助を受け,議論を行なった。会議に先立って 1955年に同財団に提出された提案書にはすでに "Artificial Intelligence"ということばが盛り込まれていた。提案者は,ジョン・マッカーシー(ダートマス・カレッジ助教授),マービン・ミンスキーハーバード大学研究員),ナサニエル・ロチェスター(IBMマネージャー),クロード・シャノンベル研究所研究員)である。提案書においてマッカーシーは,人工知能の課題として,(1) コンピュータがシミュレーションできるように,知能の機能を正確に記述すること,(2) コンピュータが人間と同じように言語を操作できるようにすること(→自然言語処理),(3) 神経回路網(→ニューラルネットワーク)を使って高次タスクを遂行できるようにすること,(4)計算の複雑さにかかわる理論をつくること,(5) コンピュータが自己の能力を改善する学習能力を実現すること,(6) 抽象化の機能を実現すること,(7) 本題に直接関係しないが示唆に富むヒントを用いた創造的思考を実現すること,を提示した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダートマス会議」の意味・わかりやすい解説

ダートマス会議
だーとますかいぎ

1956年7月から8月にかけて1か月にわたり開催された、人工知能(AI)研究の始まりとなった会議。当時ダートマス大学に在籍していたジョン・マッカーシーJohn McCarthy(1927―2011)が主催し、発起人は、マッカーシーのほかに、マービン・ミンスキーMarvin Minsky(1927―2016)、クロード・シャノン、ナザニエル・ロチェスターNathaniel Rochester(1919―2001)である。参加者には、H・サイモン、アレン・ニューウェルAllen Newell(1927―1992)、レイ・ソロモノフRay Solomonoff(1926―2009)、オリバー・セルフリッジOliver Selfridge(1926―2008)、アーサー・サミュエルArthur Samuel(1901―1990)ら、初期のAI研究で活躍した人たちの名前がみえる。

[中島秀之 2019年8月20日]

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