チェルマク(読み)ちぇるまく(英語表記)Gustav von Seysenegg Tschermak

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェルマク」の意味・わかりやすい解説

チェルマク(Erich von Seysenegg Tschermak)
ちぇるまく
Erich von Seysenegg Tschermak
(1871―1962)

オーストリアの植物遺伝学者、育種学者。岩石学者のG・チェルマクを父に、ウィーンに生まれる。ウィーン大学などで学び、実地の農業にも従事し、ハレ大学で学位を取得した。しかし、国内では研究できるポストが得られず、ベルギーヘント(ガン)付近の農場エンドウを材料にした交雑の研究を始めた(1898)。この研究はウィーン近くの国営農場でも続けられ、その結果は「エンドウの人工交雑について」という題で、1900年にド・フリースコレンス論文とともに『ドイツ植物学会紀要』に発表された。これらの論文はいずれもメンデル遺伝法則を再発見したものであり、近代遺伝学の出発点をなした。その後、彼は育種にメンデルの遺伝法則を応用する研究に努め、多くの大学から称号を送られた。

真船和夫


チェルマク(Gustav von Seysenegg Tschermak)
ちぇるまく
Gustav von Seysenegg Tschermak
(1838―1927)

オーストリアの岩石学者。モラビア(現、チェコ)に生まれる。1868年ウィーン大学の岩石学教授となる。主として、オーストリアの鉱物学的な研究を行ったが、とくに角閃(かくせん)石、斜長石輝石など珪酸塩(けいさんえん)鉱物の固溶体としての性質の研究は有名である。岩石学、古生物学のほか隕石(いんせき)の研究でも知られ、1883年「隕石の顕微鏡的性質」を発表した。主著に『長石族』(1865)がある。

[吉井敏尅]

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