チェンニーニ(読み)ちぇんにーに(英語表記)Cennino Cennini

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェンニーニ」の意味・わかりやすい解説

チェンニーニ
ちぇんにーに
Cennino Cennini

生没年不詳。14、15世紀にわたるイタリアの画家。この画家の作品で確実なものは1点も現存せず、その名前はむしろ『美術の書』Il libro dell'arteの著者として知られている。生涯についても知られていることは少なく、『美術の書』中の記述や、他の資料によると、アンドレア・チェンニーニの子としてコッレ・ディ・バルデルサに生まれ、フィレンツェの画家アニョーロ・ガッディのもとで12年間修業したのち、パドバに移住し、結婚して、同地の君主フランチェスコ・ダ・カッラーラに仕えたという。『美術の書』は絵画の実践的手引であり、内容は初心者に対する教訓的言説なども含むが、ほとんど実際的な技法の解説にあてられている。当時のフレスコテンペラなどの技法や、美術についての考え方を知るための貴重な手掛りとなっている。

[西山重徳]

『中村彝・藤井久栄訳『芸術の書――絵画技法論』(1964・中央公論美術出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チェンニーニ」の意味・わかりやすい解説

チェンニーニ
Cennini, Cennino d'Andrea

[生]1360頃.コルレディバルデルサ
[没]1440頃.フィレンツェ
イタリアの画家。 A.ガッディに師事。確証ある彼の作品は1点もないが,『画技の書』 Il Libro dell'Arte (1380頃,パドバで執筆) の著者として知られる。これは絵画の解釈様式,技法にわたり,主として G.ジョット以来の絵画の伝統を述べている。

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