言説(読み)げんせつ/ごんせつ(英語表記)discours(仏)

  • げんせつ
  • ごんせつ

知恵蔵の解説

「言説」とは文字通り「言葉で説くこと、説くその言葉」の意であるが、言語・文化・社会を論じる用語としての語義はそれとは大きく異なる。批評用語としての「言説」は、仏語discours(ディスクール〈英語のdiscourseに相当〉)の訳語として成立した。元来、「演説スピーチ、発言、論」を意味したdiscoursには、1960年代以降、ミシェル・フーコーの言う「特定の社会的・文化的な集団・諸関係に強く結びつき、それによって規定される、言語表現、ものの言い方」の含意が加えられた。それを受けて、今日「言説」(discours)は、ある「もの言い」の文化的、社会的文脈の意で使われることが多い。一方、「文字、筆跡字体」を原義とする仏語の(e)criture(エクリチュール〈英語のwritingに相当〉)は、批評用語として、(1)文体、(2)書くという行為、(3)書かれたもの、(4)書き言葉、の4つの意味を併せ持つため、英語文献においてもwritingに置き換えずにそのまま仏語で、日本語文献でもカタカナ語「エクリチュール」として使用される。

(井上健 東京大学大学院総合文化研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 意見を言ったり物事を説明したりすること。また、そのことば。ごんせつ。
※山鹿語類(1665)二一「更に言説に不渡して、言説又仁義のみ也」 〔李山甫‐禅林寺作寄劉書記詩〕
〘名〙 (「ごんぜつ」とも) 物を言うこと。言語をもって述説すること。また、言語・音声をもってする説法。げんせつ。
※正法眼蔵(1231‐53)三十七品菩提分法「言説はことなりとも、黙然はひとしかるべしと憶想せるともがらの」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

ノーブレスオブリージュ

《「ノブレスオブリージュ」とも》身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

言説の関連情報