チスイビル(読み)ちすいびる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チスイビル」の意味・わかりやすい解説

チスイビル
ちすいびる / 血吸蛭
[学] Hirudo nipponia

環形動物門ヒル綱顎(あご)ビル目ヒルド科に属する動物。日本各地に広く分布し、淡水湿地に生息する。体長は30~40ミリメートルで、細長く扁平(へんぺい)。背面に緑灰色の数条の縦縞(たてじま)がある。前方吸盤に口があり、あごがよく発達して多数の歯が1列に並ぶ。このあごでほかの動物の皮膚に傷をつけて吸血する。唾液(だえき)にはヒルジンという物質があり、相手の血を固めずに吸血することができる。雌雄同体で、温血動物の血を吸ったあとで交尾産卵をする。このヒルの吸血性を利用して、うっ血した場所に吸い付かせる治療に用いるので医用ビルの別名がある。

[今島 実]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チスイビル」の意味・わかりやすい解説

チスイビル
Hirudo nipponica

環形動物門ヒル綱顎ビル目ヒルド科。体長3~4cm。体はやや扁平な円柱形で,両端がやや細く,背面に緑灰色の縦縞が数本走る。体前方の吸盤に口と3対の半円形の顎をもち,細かい歯がある。眼は5対。雌雄同体。日本の水田,池,沼などに広く分布し,人体に吸着して吸血する。痛みを伴わないが,ヒルディンと呼ばれる凝血防止物質を含んでいるため,吸血後も止血しにくい。

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