チッペンデール(読み)ちっぺんでーる(英語表記)Thomas Chippendale

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チッペンデール」の意味・わかりやすい解説

チッペンデール
ちっぺんでーる
Thomas Chippendale
(1718ころ―1779)

イギリス家具デザイナー。ヨークシャー州オトリーの指物(さしもの)師の家に生まれる。徒弟修業を終えたのち、1749年ロンドンで独立して店を構えた。彼の家具は、フランスのルイ15世様式基調に、ゴシックや中国風のスタイルを大胆に取り入れている点に特徴があり、一般にチッペンデール様式と称される。54年刊行の『紳士と家具師のための手引』によって国際的な名声を博し、ヨーロッパ中に多大な影響を与えた。彼はまた従来の重苦しいウォルナットにかえてマホガニーを家具の素材に用いたが、背もたれにリボン透彫りのある軽快な椅子(いす)がとりわけ有名である。ロンドンで死去

[谷田博行]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チッペンデール」の意味・わかりやすい解説

チッペンデール
Chippendale, Thomas

[生]1718.6.5. 〈洗礼〉ヨークシャー,アトリー
[没]1779.9.11. ロンドン
18世紀イギリスの最も著名な家具デザイナーで,チッペンデール様式の創始者。 1727年頃家具師の父とともにロンドンに出,49年に独立して店を構えた。 54年に家具図集『紳士と家具師のための手引書』 Gentleman and Cabinet Maker's Directorを出版。彼の様式はロココ趣味を基調にゴシック風,中国風,古典主義的なものなどさまざまな時代,地域の様式を巧みに採用し,自由で精緻なスタイルを特色とする。このような彼の作品はイギリス家具の黄金時代を築いたばかりでなく,当時のヨーロッパ家具にも大きな影響を与えた。特に精巧な透かし文様のある椅子が有名。

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