翻訳|mahogany
中米~南米北部に分布するセンダン科マホガニー属Swieteniaの樹木。とくにその木材をいう。マホガニー材は世界の最高級材として名高く,18~19世紀のヨーロッパではこの材の家具,調度は富貴の象徴としてもてはやされた。マホガニー属には近縁な数種が認められるが,主要種はS.mahagoni Jacq.とS.macrophylla Kingで,後者は前者に比し葉,花,果実が大きいので,オオバマホガニーbig-leafed mahoganyと呼ばれる。両者とも樹高50m,直径2m以上にもなる常緑高木。葉は偶数羽状複葉で互生し,6~12枚の小葉をもつ。果実は長さ15~20cmの狭楕円球形の蒴果(さくか)で,中に長翼のある扁平な種子を多数含む。木材は桃褐色~赤褐色の心材をもち,空気に触れてしだいに暗赤褐色になる。微妙な色調の濃淡と光沢があり美しい。気乾比重の平均0.60。加工しやすく,乾燥後は狂いがきわめて少ない。装飾用材としての価値が高く,今日では薄くスライスした板(突板(つきいた))を,家具類の表面や建築内壁に用いることが多い。生長の速いオオバマホガニーは世界の熱帯各地で造林され,またしばしば街路樹として植えられている。名まえにあやかってまったく別の木材にマホガニーの名がつけられる場合も多く,アメリカの木材市場でいうフィリピンマホガニーはラワンのことである。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
センダン科(APG分類:センダン科)の常緑高木。高さ30メートル、径1.8メートルに達する。樹皮は赤褐色、鱗片(りんぺん)状にはげる。葉は互生し、偶数羽状複葉。小葉は3、4対、卵形または卵状長楕円(ちょうだえん)形でゆがんでおり、長さ約5センチメートル、先はとがる。8月、円錐(えんすい)花序をつくり、淡黄緑色で径約1センチメートルの小花を開く。萼(がく)は浅く5裂し、花弁は5枚。雄しべは花糸が筒状に合着する。果実は卵形の蒴果(さくか)で長さ10~15センチメートル、10~11月、暗褐色に熟して5裂する。種子は広い翼があり、刀形で長さ5~6センチメートル。北アメリカのフロリダ最南部、西インド諸島に分布する。心材は濃赤褐色、堅くて重く、強い。磨くと美しい光沢が出るので、家具材や室内装飾材として優れ、古くからヨーロッパに輸出された。近縁のオオバマホガニーS. macrophylla Kurzは中央アメリカから南アメリカに分布し、現在は単にマホガニーとして使われている。高さ45メートル、径2メートルに達し、小葉は披針(ひしん)状長楕円形で長さ10~15センチメートルとマホガニーより大きく、花は白色または緑白色である。成長が速く、種子の生産がよいため、各地で造林され、並木や庭園樹とされる。このほか、センダン科、マメ科、アカテツ科、フトモモ科などの種類の類似材も俗にマホガニーといわれている。
[小林義雄 2020年10月16日]
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…木工にとって重要なろくろ技術はメソポタミア地方の古代国家の家具に多くみられるため,この技術の発生地はメソポタミア地方とされている。イギリスの家具史研究家パーシー・マッコイドは家具の歴史を,使用された木材から〈オーク(ナラ,カシ)の時代 1400‐1660年〉,〈ウォルナット(クルミ)の時代 1660‐1720年〉,〈マホガニーの時代 1720‐70年〉,〈サテンウッドの時代 1770年~19世紀初期〉と時代区分している。19世紀中期以後は主役をなす木材はなく,家具の使用目的に応じて多種多様な木材が使われるようになった。…
※「マホガニー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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