日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョンピの乱」の意味・わかりやすい解説
チョンピの乱
ちょんぴのらん
il tumulto dei Ciompi イタリア語
1378年にフィレンツェで生じた都市反乱。チョンピは、毛織物工業の準備工程(洗毛、梳毛(そもう)など)に従事する下層労働者。フィレンツェでは、他のイタリア都市と同様に、遠隔地商業、金融業、手工業などの21のアルテ(ギルド組織)に結集している者だけが事実上政治に参加し、多数の下層労働者は排除されていた。14世紀後半、旧来の都市貴族と新興商人層が激しく対立し、内政、外交をめぐって争った。3年間続いた対教皇庁戦が敗北に終わった1378年7月、一部の都市貴族と結んだチョンピが蜂起(ほうき)し、市庁舎を包囲して、代表者ミケーレ・ディ・ランドMichele di Lando(1343ころ―1401)を中心に権力を掌握した。彼らは独自のアルテをつくり、恒常的に市政に参加しようとしたが、商人、手工業者の反発を招き1か月で敗退した。
[清水廣一郎]