紡毛糸(読み)ぼうもうし(英語表記)woollen yarn

精選版 日本国語大辞典 「紡毛糸」の意味・読み・例文・類語

ぼうもう‐し バウモウ‥【紡毛糸】

〘名〙 原料に比較的短い羊毛の繊維を用い、ノイルや再生毛その他各種の繊維を混じ紡毛紡績工程を経てつむがれた糸。紡毛。
さい果て(1964‐71)〈津村節子〉二「志郎は、紡毛糸を山形地方のメリヤス業者に売り込む仕事をしていたのだが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「紡毛糸」の意味・読み・例文・類語

ぼうもう‐し〔バウモウ‐〕【紡毛糸】

羊などの比較的短い毛や再生毛などでつくった糸。毛羽けばが多く、縮絨しゅくじゅうしやすい。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「紡毛糸」の意味・わかりやすい解説

紡毛糸 (ぼうもうし)
woollen yarn

通常の紡績にかからない5cm以下のくず糸をいう。これには,羊毛紡績のコーミング工程から出るノイルnoilと呼ばれる短い繊維や,回収羊毛などの反毛shoddyも含まれる。紡毛糸はドラフトによって繊維の状態を完全に平行にそろえることや縮れを十分に直すこともしないで,そのまま撚り(より)をかけて織糸に用いる。梳毛(そもう)紡績ではくず糸として扱われるが,毛布フェルトフランネルメルトンなどの製織には上等な原料である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紡毛糸」の意味・わかりやすい解説

紡毛糸
ぼうもうし
woollen yarn
woolen

羊毛原料のうち、比較的、毛足の短い短繊維、ノイル、屑(くず)毛、反(はん)毛(不用となった毛糸・毛織物を再生するために、ときほぐし、繊維の状態にしたもの)、再生毛、綿花などをおもな原料として紡績した毛糸をいう。毛紡績するには、精紡の方法により紡毛と梳毛(そもう)とに分けられるが、紡毛糸は梳毛糸に比べて繊維の並行度が悪く、その配列が自由であり、毛羽が多く粗硬にみえるが、柔軟で暖かいのが特徴であり、紡毛織物の原料糸に供給される。紡績方法は、現在でも特殊な用途にあてるものについては、ミュール精紡機を使用している。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の紡毛糸の言及

【糸】より

… 綿紡糸には,短繊維などを強制的に除いて繊維をよく分離して平行に並べる工程を経て作るコーマ糸と,コーマを通さないカード糸があり,前者は60番以上の細い糸やミシン糸(カタン糸)のように均一な強い糸になる。 羊毛は紡績法により梳毛(そもう)糸と紡毛糸に分かれる。梳毛糸は比較的長い羊毛をよく梳(す)いて繊維を平行に並べて作るので糸筋はけばなく整っている。…

【毛糸】より

毛織物のための織糸,工業的に機械生産するための糸,手編み用の手編糸があり,ここでは通例にしたがって手編糸のことを毛糸と呼ぶ。紡績上の違いから繊維の長い梳毛(そもう)糸と,繊維の短い紡毛(ぼうもう)糸に分けられ,手編糸は一般に梳毛糸が用いられる。毛糸を太さで分類すると,極太毛糸,並太毛糸,中細毛糸,合細毛糸(以上は4本撚糸),極細毛糸,特細毛糸,超特細毛糸(以上は2本撚糸)に分けられる。…

【紡績】より

…イギリス式ではリングおよびキャップ精紡機のほか,雑種羊毛,モヘアなど特殊な糸ではフライヤー精紡機が用いられる。(2)紡毛紡績 太番手の紡毛糸を作る紡績で,いろいろな原料を混ぜる場合が多い。原料を洗浄した後,植物性の夾雑物を炭化して除去したり,糸くず,ぼろなども必要に応じて炭化,反毛(開繊)した後,各種原料を調合(混毛,給油,開毛)し,ローラーカードにかける。…

※「紡毛糸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android