改訂新版 世界大百科事典 「ツルアリドオシ」の意味・わかりやすい解説
ツルアリドオシ
Mitchellia undulata Sieb.et Zucc.
山地の木陰に生えるアカネ科の常緑性多年草。名まえは見かけがアリドオシに似てつる性なのでつけられた。茎は長く地上をはい,70cm以上になり,節から根を出す。葉は卵形で,長さ1~1.5cm。花は茎の先に短い柄を出し,2個まれに3個ずつつき,4数性。短花柱花と長花柱花の2型があり,おしべは前者で長く,後者で短い。花冠は筒状漏斗形で白く,長さ約1cm。子房は下位で4室あり,各室に1個の胚珠が下垂する。対をなした子房は互いに合着するため,1個の子房上に2~3個の花が咲いているように見える。果実は球形,赤く熟し,花の萼が突起状に残っている。北海道から九州と朝鮮南部に分布し,北アメリカにごく近縁な種M.repens L.(英名partridge berry)が隔離分布している。ツルアリドオシ属は2種からなる小さい属であるが,属の類縁についてはまだわかっていない。
執筆者:福岡 誠行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報