ツルアリドオシ(その他表記)Mitchellia undulata Sieb.et Zucc.

改訂新版 世界大百科事典 「ツルアリドオシ」の意味・わかりやすい解説

ツルアリドオシ
Mitchellia undulata Sieb.et Zucc.

山地木陰に生えるアカネ科の常緑性多年草。名まえは見かけがアリドオシに似てつる性なのでつけられた。茎は長く地上をはい,70cm以上になり,節から根を出す。葉は卵形で,長さ1~1.5cm。花は茎の先に短い柄を出し,2個まれに3個ずつつき,4数性。短花柱花と長花柱花の2型があり,おしべ前者で長く,後者で短い。花冠筒状漏斗形で白く,長さ約1cm。子房下位で4室あり,各室に1個の胚珠が下垂する。対をなした子房は互いに合着するため,1個の子房上に2~3個の花が咲いているように見える。果実球形,赤く熟し,花の萼が突起状に残っている。北海道から九州と朝鮮南部に分布し,北アメリカにごく近縁な種M.repens L.(英名partridge berry)が隔離分布している。ツルアリドオシ属は2種からなる小さい属であるが,属の類縁についてはまだわかっていない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツルアリドオシ」の意味・わかりやすい解説

ツルアリドオシ
つるありどおし / 蔓蟻通
[学] Mitchella undulata Sieb. et Zucc.

アカネ科(APG分類:アカネ科)の常緑性多年草。名は、全体がアリドオシに似ていて、茎がつる状であることによる。茎は細く地上をはって伸びる。葉は対生し卵形で、長さ1~1.5センチメートル。花は6~7月、茎の先に二つ、まれに三つつき、ニ(三)つの下位子房は互いに合着し、一つの子房に花がニ(三)つ咲いているようにみえる。花冠は白色で、長さ1センチメートル、4裂して開く。実は赤く熟し、直径8ミリメートル。林下のやや湿った所に生え、日本、朝鮮半島台湾中国などに分布する。

福岡誠行 2021年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツルアリドオシ」の意味・わかりやすい解説

ツルアリドオシ(蔓蟻通し)
ツルアリドオシ
Mitchella undulata

アカネ科の常緑多年草。東アジアに分布し,日本では各地の山地の木陰に生える。茎は地上をはい,節から根を出す。花は6月頃,茎の先に2個ずつ並んでつく。花冠は長さ 15mmほどで白色,下部は筒状で,上部は4裂して開く。株により花柱が長く突出しおしべが短いものと,逆に花柱が短くおしべが長いものとがある。液果は球形で赤く熟し,先端に2花の跡があるが,これは2個の果実が合一して1個になったためである。ツルアリドオシの名はアリドオシに似て,つるになることによる。

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