アリドオシ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリドオシ」の意味・わかりやすい解説

アリドオシ(蟻通)
アリドオシ
Damnacanthus indicus

アカネ科の常緑低木。関東以西の暖かい山地に生え,南は中国南部,タイ,インド北東部にまで分布する。細い幹は高さ 30~60cmで,枝を水平に伸ばし,葉を対生する。葉は卵円形で長さ1~2cm,全縁,革質でごく短い柄をもつ。托葉はごく小さくすぐに落ちるが,その腋から長さ1~2cmの刺針が出る。5月頃,葉腋白色の花を1~3個つける。花冠は長さ 11~12mmの細長い筒形で先が4裂し,その内部に長い花糸をもった4本のおしべがある。めしべは長い花柱もち,先が4つに分れる。果実は径3~4mmの球形で,冬に赤く熟す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリドオシ」の意味・わかりやすい解説

アリドオシ
ありどおし / 蟻通
[学] Damnacanthus indicus Gaertn.

アカネ科(APG分類:アカネ科)の常緑小低木。高さ30~60センチメートル。枝は規則的に二又状に分枝する。対生葉は大小の2形があり、1節ごとに大小を繰り返す。大きい葉をつける節の托葉(たくよう)のわきから刺針(ししん)が出る。花は5月に開き、4数性で白色。子房は4室、各室に一つの胚珠(はいしゅ)が頂生する。果実は冬に赤く熟し、翌春まで残る。日本から中国南部にかけて分布し、山地の木陰に生える。名はアリをも刺し通すほどの細く鋭い針をもつことによる。センリョウマンリョウとともに植え、「千両万両有通し」と縁起をかつぐ。アリドオシ属は東アジアに約10種分布するが、多くの特異な形態をもっており、属の類縁はよくわかっていない。

[福岡誠行 2021年5月21日]

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