デクリオネス(読み)でくりおねす(英語表記)decuriones ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デクリオネス」の意味・わかりやすい解説

デクリオネス
でくりおねす
decuriones ラテン語

古代ローマの都市参事会員。原則として都市の政務官経験者から5年ごとの戸口調査の際に補充され、その職は終身であった。都市参事会員の数は都市の規模により異なっていたが、彼らが政務官の顧問団を形成し、都市の公生活を統制した。都市の行政財政、ローマや属州総督への代表団や請願団の派遣、あるいは名誉を表彰する布告などは彼らが行った。都市参事会員はまた、都市が帝国に対して支払わなければならない税を徴収する責任を負い、不足が生じた場合には個人的に負担しなければならなかった。この負担がしだいに重いものになるにつれて、都市参事会員の職は富者の世襲的な免れることの許されない義務となり、彼らは統治階級から、クリアレスとして知られる税徴収者階級へと変質した。都市は財政のかなりの部分を都市参事会員からの寄付に依存していたため、都市参事会員層が没落したことは、都市の衰退、都市制度の崩壊へとつながった。

[市川雅俊]

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