原子炉を退役させること.耐用年限の過ぎた,または事故などで使用不能の原子炉の廃止措置.第一段階は核燃料の抜き取り.その後の処理に3種類の方法がある.
(1)原子炉施設を閉鎖して放射能漏えいが起こらないように監視する“密閉管理”.
(2)高度に放射化されている部分をしゃへい壁によって封じ込み,点検管理を行いながら外側敷地は使用する“しゃへい隔離”.
(3)原子炉を解体して,炉心など,高い放射能を帯びている炉内構造物の高レベル廃棄物をしゃへい容器に封じて廃棄物処理施設に移送し,敷地は再利用する“解体撤去”.
日本原子力研究所の12.5 MW 試験研究用沸騰水炉JPDRは,1976年に運転終了,1986年から解体実地試験が行われ,1995年に終了した.この間,1986年から燃料抜き取りが行われ,遠隔操作を含む作業による格納容器,圧力容器,しゃへい体壁の解体撤去に約8年を要し,その後,除染作業が行われた.日本原子力発電・東海1号炉は,わが国における商業用発電炉の廃止措置第1号で,1998年3月運転停止,2001年6月燃料搬出完了,同年末から廃止措置着手,2011~2017年の7年をかけて解体する計画である.2003年に運転を停止した新型転換炉原型炉“ふげん”は,約10年の準備期間の後,実際の廃炉解体作業に入ることが予定されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
… 原子力発電所は約30~40年の運転を想定して設計されているが,寿命評価の研究により,実際の寿命はそれよりも約20年以上も長いと評価されている。原子力発電所が最終的に運転を終えると,デコミッショニングされる。デコミッショニングには即時解体,密閉管理,遮蔽隔離の3方式があるが,いずれにせよ最終的には解体される。…
※「デコミッショニング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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