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廃炉 はいろdecommissioning

翻訳|decommissioning

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

廃炉
はいろ
decommissioning

運転を終了した原子炉施設の廃止。廃炉の方法としては,放射能の蓄積した燃料を炉心から抜き取った後,数十年間放置するか埋め立てて,誘導放射能 (運転中に炉心から発生する中性子冷却材や構造物に衝突してできた放射能) が減衰するのを待つ方法もある。しかし,立地条件の厳しい日本では,同じ場所に新しい原子炉を建設するため,運転を終了した原子炉は早期に解体撤去する方針である。そのため,高放射化物の解体撤去技術が研究されて,原研動力試験炉 JPDRでは日本初の原子炉解体試験も行なわれている。

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知恵蔵の解説

廃炉

老朽化などにより、使用しなくなった原子炉を解体・撤去すること。
日本の商業用原子力発電所のうち、初期に建設されたものは、運転開始から40年以上が経過しており、老朽化が進んでいる。原子炉等規制法では、原発の高経年化(老朽化)対策として運転開始から30年を迎える前に、電力各社に安全性の技術的な評価を行うよう求めている。それ以降は、10年ごとに評価を行い、原子力安全・保安院が審査して運転を許可してきた。しかしながら、運転期間の上限についての具体的な制限はなかった。政府は東京電力福島第一原発事故を受け、原子力安全規制強化のため、原発の運転を原則として40年以上は認めないという同法の改正を発表。その後、例外規定で、1回のみ20年を上限として延長を認めるとした(2012年1月17日)。
すでに廃炉の決まった福島第一の4基の他、日本初の商業用軽水炉である日本原子力発電の敦賀1号機や、関西電力の美浜1号機は運転開始から40年を超え、美浜2号機も12年7月には40年を迎える。原子炉等規制法改正後も、申請があれば審査を経て延長を認める例外規定も残されるが、法改正でそのハードルは高くなる。細野豪志原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣は「期限が来たら基本的に廃炉にしていく」としている。なお、国際原子力機関(IAEA)が定義する廃炉方法には、「完全密閉方式」、「遮蔽管理方式」、「即時撤去解体方式」がある。いずれも大量の放射性物質が解体後に残され、高レベル放射性廃棄物についての保管方法はいまだに決まっていない。
これまで、小型の研究炉や原子力船「むつ」などの原子炉が廃炉になったが、大型実用炉の廃炉はこれからの課題である。1998年に運転を終了し廃炉作業が進んでいる日本原子力発電東海発電所の黒鉛ガス炉は、廃止・解体まで23年間、総費用は930億円を要するとされているが、まだ原子炉領域の解体・撤去には至っていない。また、福島第一4基の廃炉には30年を要すると予測され、費用は周辺の除染を含めずに1兆1500億円を超えると、政府の第三者機関である「東京電力に関する経営・財務調査委員会」は試算している。

(金谷俊秀  ライター / 2012年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

廃炉

廃炉作業は、まず核燃料を搬出して、放射能が減るのを待ち、周辺設備、原子炉、建屋の順で解体し、運転終了から数十年かかるとされる。商業用原発で廃炉のため運転を止めたのは日本原子力発電の東海、中部電力浜岡1、2号毅事故を起こした東京電力の福島第一1~4号機も廃止される。原子炉の運転は原則40年に制限されており、これを越えて動かすには基準を満たす必要がある。日本原電の敦賀1号帰関西電力の美浜1、2号機は40年を超え、来年は中国電力の島根1号帰関電の高浜1号機も40年を迎える。

(2013-10-30 朝日新聞 朝刊 オピニオン1)

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大辞林 第三版の解説

はいろ【廃炉】

寿命を迎えた原子炉。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

廃炉
はいろ

大規模な原子炉事故や耐用年数経過などのため、解体などによって将来にわたって原子炉の運転を停止処分にすること。方法としては、(1)解体撤去(dismantling)、(2)密閉管理(mothballing)、(3)遮蔽(しゃへい)隔離(entombment)などがあるが、(2)→(1)、(3)→(1)などの組合せ方式も考えられる。敷地に限りがある日本などでは土地の再利用を考えた廃炉処分が必要とされるが、そのためには、廃炉処分のしやすさを考慮した原子炉の設計・施工、関連法規の整備、廃炉技術の開発、解体作業従事者や周辺環境への影響評価、資金調達などの諸問題が解決される必要がある。1986年(昭和61)12月から1996年(平成8)3月にかけて、廃炉技術の開発とその実証のため、日本原子力研究所(現、日本原子力研究開発機構)の動力試験炉(JPDR)の解体実地試験が行われた。また、1998年3月に運転を停止し、2001年(平成13)から解体を開始した日本原子力発電株式会社の東海1号炉(天然ウラン燃料・炭酸ガス冷却・黒鉛減速炉、電気出力16万6000キロワット)の廃炉費用は当初予想を大幅に超えて900億円超とされており、新型転換実証炉「ふげん」についても千数百億円との試算がある。廃炉費用としては、解体費用、解体に伴う廃棄物処分費用、施設撤去までの維持費、低レベル放射性廃棄物の処分費用等が見込まれる。2011年3月に事故を起こした福島第一原発1~4号炉の廃炉には30年~50年の期間を要し、1兆円をこえる費用がかかるとも予測されている。[安斎育郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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