電気通信事業法(読み)デンキツウシンジギョウホウ

デジタル大辞泉 「電気通信事業法」の意味・読み・例文・類語

でんきつうしんじぎょう‐ほう〔デンキツウシンジゲフハフ〕【電気通信事業法】

電気通信事業電話インターネットなど)について定めた法律。昭和59年(1984)制定。電気通信事業が公共性を考慮して適正に運営されることを目的としている。
[補説]平成16年(2004)4月施行の法改正で、第一種・第二種の事業区分の廃止をはじめ、各種許認可制を登録・届出制にするなど、大幅な規制緩和が行われた。

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共同通信ニュース用語解説 「電気通信事業法」の解説

電気通信事業法

国民生活に不可欠な電気通信サービスを円滑に提供し、利用者利益を保護するため、携帯電話会社が守るべきルールなどを定めた法律。通信障害が発生した場合、影響利用者数や継続時間が一定の基準に達すると「重大な事故」とみなされ、事業者には総務省への報告義務が生じる。事業者は速やかに概要を報告し、事故発生から30日以内に詳細な報告をすることが求められる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気通信事業法」の意味・わかりやすい解説

電気通信事業法
でんきつうしんじぎょうほう

電気通信事業の基本的事項を定めた法律。昭和59年法律第86号。日本において電気通信事業を営むことができる者は、従来は、日本電信電話公社民営化の後、1999年日本電信電話株式会社持株会社とする3社体制に分割)と国際電信電話株式会社KDD。現KDDI)に限られていた。しかし、社会の情報化に対応するためには、電気通信事業に競争を導入する必要があるとして1985年(昭和60)4月に本法が施行され、従来の公衆電気通信法は廃止された。

 本法は、(1)電気通信事業を営むことのできる者を特定しない、(2)電気通信事業者間での公正な競争を確保するための措置がある、(3)電気通信事業者への規制は、その設置する電気通信回線設備の有無や規模によって差がある、(4)電気通信事業の性格から要求される公共性を確保するための措置があるなどの特色をもっている。本法によって、電気通信事業者に対する規制は大幅に緩和され、公社から株式会社に衣替えした日本電信電話株式会社(NTT)、KDDは競争の場に置かれることとなった。その後、電気通信市場への新規参入の円滑化と事業者間の適正な競争を図るために必要な改正が行われている。

 なお、1999年(平成11)7月には、日本電信電話株式会社が分割・再編成され、新しい日本電信電話株式会社は純粋な持株会社として存続し、その下に東日本電信電話、西日本電信電話、NTTコミュニケーションズの三つの株式会社が新設されている。また、2000年(平成12)10月には第二電電(DDI)、KDD、日本移動通信の3社が合併し、ディーディーアイとなり、2001年4月社名をケイディーディーアイに、さらに2002年11月にはKDDIと変更した。情報通信技術の進歩を適時に活用するための電波法の見直しも進められている。

[笠井哲哉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電気通信事業法」の意味・わかりやすい解説

電気通信事業法
でんきつうしんじぎょうほう

昭和 59年法律 86号。 1984年に,それまで日本電信電話公社および国際電信電話株式会社によって独占的に運営されてきた電気通信事業を民間に全面的に開放し競争原理を導入するために,公衆電気通信法を廃止して制定された法律。電気通信事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより,電気通信役務の円滑な提供を確保するとともに,利用者の利益を保護することを目的とする。電気通信事業の取り扱い中の通信の検閲の禁止,秘密の保護,第1種電気通信事業の許可制,第2種電気通信事業の届け出・登録制,電気通信事業の業務,電気通信設備などについて定める。 2001年には「基礎的電気通信役務の提供」 (ユニバーサルサービス) 確保のための支援機関の設置や電気事業者間の紛争処理委員会の創設などを盛り込んだ改正,さらに 2003年には一種,二種事業者の区分撤廃などインターネット時代に対応した抜本的改正が予定された。

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世界大百科事典(旧版)内の電気通信事業法の言及

【電話加入権】より

…一種の債権であるが使用料支払等の義務を伴うものであるから,当該事業者の承諾等を得ないで当然に自由に譲渡質入れができるものとはいえない。電気通信業務の自由化を目的として制定された電気通信事業法(1984公布)には,この権利について直接触れる規定はないが,同法の施行に伴い廃止された公衆電気通信法(旧公衆法。1953公布)においては,電話加入権は電電公社の承認がないとその譲渡の効力は生じないものとし,また質権の目的とすることはできないものとしていた(38条~38条の3。…

※「電気通信事業法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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