改訂新版 世界大百科事典 「トゥアト」の意味・わかりやすい解説
トゥアト
Touat
北アフリカのサハラ砂漠北西部,現在のアルジェリア中部にあるオアシスの町。サハラを越えての交易路の,とくにトンブクトゥからカルタゴ,トリポリへ向かう交易路の中継地として,長い間重要な町であった。北アフリカからの衣類や装身具,サハラの岩塩と引換えに,サハラの南から金や奴隷が運ばれてきた。15世紀,ヨーロッパ人にとっては伝説化された風聞だけで到達できなかった黄金の帝国マリや,その大交易都市トンブクトゥについての情報を得るために,ジェノバの商人マルファンテAntonio Malfante(1410ころ-50ころ)がトゥアトに潜入した。彼の手紙によると,当時このオアシスには,アラブ系の商人のほか,ユダヤ人商人が大勢住みついて,商取引のかなりの部分を掌握していたらしい。
執筆者:川田 順造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報