日本大百科全書(ニッポニカ) 「トコナツ」の意味・わかりやすい解説
トコナツ
とこなつ / 常夏
[学] Dianthus chinensis L. var. semperflorens Makino
ナデシコ科(APG分類:ナデシコ科)の多年草。中国原産のセキチク(カラナデシコ)の改良種。日本原産のナデシコなどとともに普通はナデシコの名でよばれる。
[魚躬詔一 2021年1月21日]
文化史
トコナツは『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(931~938ころ)に「瞿麥、和名奈天之古(なてしこ)、一云止古奈豆(とこなつ)」と載り、当初はナデシコと区別されていなかったようである。明治以降「常夏(とこなつ)」の名の下に同好会が各地に誕生したが、そこで扱われた品種にもセキチクやナデシコ系を含む。昭和の初めに最盛期を迎え、東京とその周辺だけでも八つの同好会があり、しばしば連合で展示会を開催した。丹頂(たんちょう)老人の『常夏』(1927)にはその記録と、141の品種が解説されている。
[湯浅浩史 2021年1月21日]