改訂新版 世界大百科事典 「トックリバチ」の意味・わかりやすい解説
トックリバチ (徳利蜂)
potter wasp
mudpot wasp
Eumenes micado
膜翅目ドロバチ科の昆虫。ミカドトックリバチともいう。体は黒色で黄斑がある。腹柄は細く,飛ぶときに腹部を曲げる。日本全国に分布し,泥を用いて,岩の平面や草の茎などに徳利形の巣をつくる。この巣が人の目をひいて,古くからトックリバチといわれた。ガの幼虫を狩って,巣の中に蓄えて幼虫の餌にする。近縁種には,キアシトックリバチE.rubrofemoratus,サムライトックリバチE.samuray,キボシトックリバチE.fraterculus,スズバチOreumenes decorataなどが日本に分布する。多くのものは体長十数mmであるが,スズバチは30mmもあっていちばん大きい。黄色の斑紋が種類によって異なっている。どの種も泥で徳利形の巣をつくるが,キボシトックリバチとスズバチは平らな石の表面などに数個まとめ,他のものは1個ずつつくる。
執筆者:勝屋 志朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報