日本大百科全書(ニッポニカ) 「トプカプ宮殿」の意味・わかりやすい解説
トプカプ宮殿
とぷかぷきゅうでん
Topikapi Sarayi
イスタンブール旧市街の東端、三方を海に囲まれた高台にある宮殿。古代にはアクロポリスの地であった。15世紀後半にオスマン帝国のメフメト2世が建設を始め、歴代のスルタンが増改築を加えて、多数の建物を擁する広大な宮殿になったが、1863年の大火でその多くが焼失した。トプカプの名は正門前にあった2門の巨砲に由来する。
現在は博物館として公開され、宝物庫には大きな宝石を無数にちりばめた豪華な家具調度、宝飾品、衣装、美術史的に貴重な写本や細密画などがある。もとの調理場には中国磁器の大器、逸品が多数展示され、有田焼、ガラス器などもある。現存している建物では、庭園内のバグダット・キョシキュがもっとも華麗である。なお、この宮殿のあるイスタンブール旧市街は1985年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[紅山雪夫]
『トプカプ宮殿博物館全集刊行会編・刊『トプカプ宮殿博物館』全5冊(1980)』