液体を作動流体とするエネルギー変換機の総称。液体としては水を扱う場合が多いので水力機械とよばれる。油や化学薬品などの液体を扱うこともあるが、これらの液体も非圧縮性流体であるという点で水と同じである。ただし、油の場合は粘性の大きいこと、薬品の場合は腐食性について考慮する必要がある。
水力機械の歴史は古く、紀元前1000年ごろにはナイル川流域、ユーフラテス川流域、中国などで製粉用に水車が用いられていたといわれる。
一般に、流体のもつエネルギーは、位置のポテンシャルエネルギー、運動エネルギー、圧力エネルギーの力学的エネルギーと、内部エネルギーといわれる熱エネルギーとに分けられる。水力機械内部での水温の変化は小さく、内部エネルギーの変化はほとんどないので、水力機械は液体のもつ力学的エネルギーと仕事(機械的エネルギー)との間の変換機であるといえる。 水力機械は、その使用目的、すなわちエネルギー変換の方向によって、四つに分類することができる。
(1)エネルギーをもった液体を流入させ、機械内部を通過する間に、液体のもつエネルギーを機械の軸動力という形の機械的エネルギーに変化させる機械。
(2)電動機や内燃機関のような原動機から機械的エネルギーを受け取って液体を吸い込み、液体にエネルギーを付与して送り出す機械。
(3)前述の(1)(2)の両機能を組み合わせることにより、液体を介して動力を伝達する装置。
(4)回転方向の切換えにより、(1)(2)の両機能を1台だけで実現する機械。
水車すなわち水タービンは、上部貯水池内の水のもつ位置エネルギーを、発電機を回すという仕事に変換しており、(1)の代表的なものである。そのほか、ポンプなどから送られる高圧の液体によって作動する液圧機械なども(1)の機能を果たしている。電動機によって駆動され、液体の位置エネルギーや圧力エネルギーを高めている各種のポンプは(2)の例である。(3)には、車両の駆動などに用いられるトルクコンバーターtorque converterや油圧伝動装置が含まれる。(4)の例であるポンプ水車は、電力需要のピーク時には水タービンとして発電機を駆動し、電力に余裕のあるときには電動機により駆動され、水を上部貯水池に揚水するために用いられる。
水力機械を作動原理によって分類すると、ターボ型機械、容積型機械、特殊型機械に分けられる。ターボ型機械は、回転する羽根車を介してエネルギーの変換を行うもので、渦巻ポンプ、タービンポンプ、プロペラポンプ、フランシス水車、カプラン水車、トルクコンバーターなどがこの形式に属する。容積型機械は、ピストン、プランジャー、またはローターなどの押し除(の)け作用によりエネルギー変換を行うもので、往復ポンプ、歯車ポンプ、ねじポンプ、油圧モーター、油圧伝動装置などが含まれる。特殊型機械は、ターボ型、容積型以外の種々の形式のもので、水撃ポンプ、気泡ポンプ、ジェットポンプ、ペルトン水車などがある。
[池尾 茂]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…空気の流れである風から動力を取り出すものは風車,高圧の空気を膨張させて動力を取り出す容積形のものを空気モーターという。また,空気(広くは気体一般を含める)を対象とするものを空気機械,水(広くは液体一般を含める)を対象とするものを水力機械と呼ぶことも多い。なお,真空を作り出すために使われる真空ポンプは,その作用としては圧縮機と同等である。…
※「水力機械」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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