ボールトン(英語表記)Bolton

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボールトン」の意味・わかりやすい解説

ボールトン
Bolton

イギリスイングランド中北部,グレーターマンチェスター地域北西部の都市。ボールトン地区を構成する。マンチェスターの北西約 20kmにあり,マージー川水系クロール川に臨む。1251年勅許を得て市場町となったが,発展は 18世紀,それまでの羊毛産業に代わって綿工業が発達し始めてからで,1780年頃最初の綿紡績工場が建設され,19世紀中頃までに綿紡績工業の中心地となった。20世紀に入って綿工業の長期的衰退傾向に対処するため,工業の多角化がはかられ,機械,化学皮革などの工業が行なわれる。ミュール精紡機(1779)の発明者サミュエル・クロンプトンの生地で,水力紡績機(1769特許)の発明者リチャード・アークライトも住んだことがある。チャドウィック博物館は織物工業の歴史を展示している。地区面積 140km2。地区人口 26万4800(2004推計)。都市人口 13万9403(2001)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボールトン」の意味・わかりやすい解説

ボールトン(Matthew Boulton)
ぼーるとん
Matthew Boulton
(1728―1809)

イギリスの企業家ワット蒸気機関製造、販売で知られる。バーミンガムの金属加工業者の子として生まれる。父の事業を継ぎ、1762年にソホー製造所を設立、金属製装身具を製造した。1768年以降、ワットの蒸気機関の将来性に着目して、その完成を援助し、1775年にボールトン‐ワット商会を設立した。最初は部品の多くを外注に依存し、組立てと特許料徴収を主業務としたが、しだいに一貫生産に移行した。この経営でボールトンは主として営業面を担当したが、造幣機械(1790年特許)などの発明でも知られ、またバーミンガムの科学者の社交クラブ、ルナ・ソサイエティLunar Societyでも活躍した。

[水野五郎]


ボールトン(イギリス)
ぼーるとん
Bolton

イギリス、イングランド北西部、グレーター・マンチェスター大都市県の工業都市。人口26万1035(2001)。ペニン山脈の西麓(せいろく)に位置するランカシャー地方の代表的な綿工業都市であるが、第二次世界大戦後は綿工業の衰退に伴い、機械、化学などの工業の比重が相対的に高まった。産業革命初期の二大発明家、アークライトは当地で開業して水力紡績機を発明(1768)し、クロンプトンは当地で生まれてミュール紡績機考案(1779)した。彼らの独創力に加えて豊富な軟水石炭が得られ、マンチェスターとの間の運河開通(1791)も伴って、中世以来の毛織物産地が近代的な綿工業都市に脱皮した。繊維博物館があり、2人の紡績機が保存されている。

[久保田武]

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百科事典マイペディア 「ボールトン」の意味・わかりやすい解説

ボールトン

英国の企業家。初め金物製造業を営み,ワットの蒸気機関製作に協力。1775年ワットとともにボールトン・ワット商会を設立,1796年世界最初の近代的機械工場として著名なソーホー鋳造工場を建設,蒸気機関その他の製造に当たるとともに,多数の技術者を育てた。

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