トレムセン(その他表記)Tlemcen

デジタル大辞泉 「トレムセン」の意味・読み・例文・類語

トレムセン(Tlemcen)

アルジェリア北西部の都市モロッコとの国境に近く、テルアトラス山脈盆地に位置する。アラビア語名タラムサーン。古くから交易の要地として栄え、13世紀から16世紀にかけてマグレブ中部を治めたベルベル人系イスラム教国ザイヤーン朝の首都が置かれた。アリーブンユースフの大モスクマンスール尖塔イスラム神秘主義の指導者シディ=ブー=メディヌの霊廟などが残っている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トレムセン」の意味・わかりやすい解説

トレムセン
Tlemcen

アルジェリア北西部の都市。モロッコに接するトレムセン県の県都。標高 807mの湿潤な海岸地帯に位置し,豊かなヘンナヤ平野とマグニア平野をのぞむ好位置にある古来の中心地。4世紀にはポマリア (果樹園) とローマ人に呼ばれ,のちにベルベル人によってアガディル (断崖) と呼ばれていたが,13世紀にはトレムセンと改称されて,イスラム文化と交易の中心地となった。 14世紀にはフェスのマリーン朝の首都となり,1559年にはアルジェリア・トルコ,1842年にはフランスの支配下に入り,1962年には独立の闘士ベンベラの拠点となった。町には曲りくねった狭い道に商店がひしめき,スペインのムーア的影響を色濃く残した古い建造物が数多くあり,ベルベル人の伝統的文化の中心地となっている。毛布絨毯などの毛織物や金属細工,皮革細工など伝統的手工芸が盛ん。 11世紀の大モスクなどがあるイスラム教の聖地で,この地方有数の観光地。人口 12万 6882 (1987推計) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「トレムセン」の意味・わかりやすい解説

トレムセン
Tlemcen

アルジェリア北西部,テル・アトラス山脈中の盆地にある古都で,同名県の県都。人口15万6258(1998)。アラビア語ではタラムサーンTalamsān。アルジェリアとモロッコ,地中海沿岸とサハラを結ぶ要所にあり,古くから商業都市として栄え,13~16世紀ザイヤーン朝の都となった。中世に建築されたモスクが残り,アリー・ブン・ユースフの大モスクやマンスーラミナレットはよく知られている。皮革・羊毛の伝統工芸が盛んで,オリーブの搾油のほか,繊維工業もみられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トレムセン」の意味・わかりやすい解説

トレムセン
とれむせん
Tlemcen
Tilimsen

北アフリカ、アルジェリア北西部のテル・アトラス山脈中の盆地にある古都。トレムセン県の県都。人口15万5162(1998)、67万2490(2008センサス)。地中海とサハラ、アルジェリアとモロッコを結ぶ要地に位置し、古くから商業都市として栄え、13~16世紀にはイスラム教国ザイヤーン朝の都となった。中世のモスクが残り、アリ・ベン・ユースの大モスクやマンスーラの尖塔(せんとう)(ミナレット)はよく知られている。皮革、羊毛の伝統工芸が盛んで、オリーブ搾油、繊維などの工場もある。

[藤井宏志]

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