ドゥテルテ(英語表記)Duterte, Rodrigo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドゥテルテ」の意味・わかりやすい解説

ドゥテルテ
Duterte, Rodrigo

[生]1945.3.28. マーシン
ロドリゴ・ドゥテルテ。フィリピンの政治家。大統領(在任 2016~22)。ディゴン Digongとも呼ばれる。父はダバオ地方の知事,母はフェルディナンドマルコス独裁政権を倒したピープルパワー運動で活躍した地域活動家。1968年にマニラのリセウム・オブ・ザ・フィリピンズ大学で政治学の学位を,1972年にサン・ベダ大学で法学の学位を取得。1977年からダバオの検察官として勤務し,1986年にダバオ副市長に任命された。1988年に市長に選出され,その後の 10年間で再選,3選された。多選禁止規定のため 1998年には下院選挙に立候補して当選。2001年に下院議員の任期を終えると,再びダバオに戻って市長に選出された。2010年には再び多選禁止規定により副市長となり,2013年市長職に復帰。過激な言動で物議をかもす政治家として知られるが,ダバオ市長を 20年以上務め,無法状態だった町を東南アジア屈指の安全な都市に変貌させた。
2016年,大統領選挙に出馬し,公務員の汚職にうんざりしていた国民の心をとらえ,地すべり的大勝を収めた。大統領就任直後から「麻薬撲滅戦争」を推進し,最初の 6ヵ月間で 6000人以上の薬物犯罪者が殺害された。2018年,国際刑事裁判所 ICCは麻薬撲滅戦争で発生した 1万2000件以上の殺害に関する予備調査を開始した。ドゥテルテはこれに反発し,2019年3月 ICCから脱退。それでも国内でのドゥテルテの人気は高く,2019年5月の中間選挙ではドゥテルテを支持する勢力が圧勝した。2022年5月の大統領選挙では,フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領候補と連携した長女サラ・ドゥテルテが副大統領に当選した。

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