ドクインシー(英語表記)De Quincey, Thomas

デジタル大辞泉 「ドクインシー」の意味・読み・例文・類語

ド‐クインシー(Thomas De Quincey)

[1785~1859]英国の随筆家批評家ワーズワース共同生活を送った。自己体験もとにした「阿片常用者の告白」で知られる。

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精選版 日本国語大辞典 「ドクインシー」の意味・読み・例文・類語

ド‐クインシー

  1. ( Thomas De Quincey トマス━ ) イギリス批評家・随筆家。ワーズワースなどロマン派詩人交遊、その批評を残す。アヘン服用により生じる怪奇な幻想を記した「阿片常用者の告白」で知られる。(一七八五‐一八五九

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドクインシー」の意味・わかりやすい解説

ド・クインシー
De Quincey, Thomas

[生]1785.8.15. マンチェスター
[没]1859.12.8. エディンバラ
イギリスの批評家,随筆家。マンチェスター・グラマースクールに入学,1年半後学校を脱出し,ウェールズ,ロンドンで放浪生活をおくった。 1803年オックスフォード大学に入学したが,在学中に阿片常用を始め,中退。 07年頃ワーズワス,コールリッジ,サウジーを知り,湖水地方のグラスミアに居住,18~19年『ウェストモアランド時報』の編集に従事した。 21年文筆で生計を立てるためロンドンに出,同年,少年時代の放浪生活,若い売春婦アンとの交友,阿片中毒の経験などを扱った自伝的な作品『阿片常用者の告白』 Confessions of an English Opium Eaterを『ロンドン・マガジン』に発表,文名を確立した。以後,同誌や『ブラックウッズ・マガジン』などに多数の作品を寄稿。『マクベス門番の場』 On the Knocking at the Gate in Macbeth (1823) ,『芸術としての殺人について』 On Murder Considered as One of the Fine Arts (27) ,『自伝的スケッチ』 Autobiographic Sketches (34~50) ,『湖畔詩人思い出』 Recollections of the Lake Poets (34~40) ,『深淵からの嘆息』 Suspiria de Profundis (45) ,『イギリスの郵便馬車』 The English Mail-Coach (47) などが有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「ドクインシー」の意味・わかりやすい解説

ド・クインシー
Thomas De Quincey
生没年:1785-1859

イギリスの文筆家。若いころから自由奔放な生活を送り,オックスフォード大学に入って後,アヘン吸飲の習慣にとりつかれ,学位を得ないで退学した。ワーズワース,コールリジ,チャールズ・ラムなど,ロマン派の文人たちと親しく交わり,彼らについての回想文を書いている。1821年《ロンドン・マガジン》に掲載した《阿片吸飲者の告白》以後,多くのエッセーを発表して注目を浴びた。《イギリスの郵便馬車》(1849)はその華麗な文体によって,今日でも広く読まれ,《“マクベス”の門たたきの場面について》(1823)は鋭い心理的洞察によって,シェークスピア批評史の中で重要な位置を占める。《芸術として見た殺人》全2部(1827,39)も,批評を道徳から解放した実践行為の一例として,また犯罪についての名論文の先駆として,日本でも谷崎潤一郎,佐藤春夫,江戸川乱歩などの推理小説作家,評論家から高く評価された。
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世界大百科事典(旧版)内のドクインシーの言及

【向精神薬】より

…現代精神医学の父と呼ばれるE.クレペリンも実は1892年に薬物が精神作業に及ぼす影響を研究していたし,モロー・ド・ツールJ.J.Moreau de Tours(1804‐84)は大麻による精神異常を観察して《ハシーシュと精神病》(1845)という400ページの本を書いていた。ド・クインシーの《アヘン常用者の告白》(1822)やボードレールの《人工楽園》(1860)もあるが,これらは薬の効果を詳しく観察したにとどまり,作用のしくみを解明できなかったので,向精神薬が科学的に研究されはじめたのは1952年の精神薬理学スタートの年とすべきであろう。精神薬理学の一分野として行動薬理学behavioral pharmacologyが発達し,ちょうど現れてきたK.ローレンツらによる動物行動学と手を携えて,動物やヒトの心理の解明に大きな貢献をすることになった。…

※「ドクインシー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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