ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドクトロウ」の意味・わかりやすい解説
ドクトロウ
Doctorow, E.L.
[没]2015.7.21. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカ合衆国の小説家。フルネーム Edgar Lawrence Doctorow。1952年ケニオン・カレッジを卒業,コロンビア大学で 1年間ドラマと制作を学んだ。1959年ニュー・アメリカン・ライブラリーの編集スタッフの一員となり,5年後にダイヤル・プレスの編集長に就任した。1971~78年サラ・ローレンス大学などで教鞭をとった。1980~81年プリンストン大学の客員上級フェローを務め,1982年ニューヨーク大学の教授となった。第一作は "Welcome to Hard Times"(1960,1967映画化)。代表作に,原子爆弾の機密をソビエト連邦に売ったスパイとして処刑されたローゼンバーグ夫妻(→ローゼンバーグ事件)の遺児を連想させる境遇の青年を主人公に,実験的な手法を駆使した『ダニエル書』The Book of Daniel(1971,1983映画化),T.ドライサー,W.フロイド,魔術師ハリー・フーディーニなど多彩な実在の人物を登場させつつ,20世紀初頭のアメリカ社会を描いた『ラグタイム』Ragtime(1975,1981映画化),不況の 1930年代を描く『紐育万国博覧会』World's Fair(1985,全米図書賞),同じく 1930年代を舞台に 15歳の少年の成長を描く『ビリー・バスゲイト』Billy Bathgate(1989,1991映画化)などがあり,いずれも高い完成度を誇っている。ほかに,戯曲 "Drinks Before Dinner"(1979),短編集 "All the Time in the World"(2011)などがある。
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