ドブレ(読み)どぶれ(英語表記)Michel Debré

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドブレ」の意味・わかりやすい解説

ドブレ(Régis Debray)
どぶれ
Régis Debray
(1940― )

フランスの政治家。パリに生まれる。高等師範学校哲学者アルチュセールの影響を受ける。1965年哲学担当教授となり、キューバのハバナ大学に交換教授として赴任した。その後、ボリビア潜入、反政府ゲリラの政治顧問として活動。1967年4月20日ボリビア政府軍によって逮捕された。本国からの助命嘆願により、軍法会議で死刑を免れ禁錮(きんこ)30年の刑を言い渡された。その後、釈放運動により1970年4月に釈放された。社会党の理論家として活躍、ミッテラン政権の政治顧問を務めた。キューバ滞在中、第三世界の革命を研究し『革命の中の革命』Révolution dans la Révolution?(1967)を発表した。『政治的理性批判』La Critique de la Raison politique(1981)、『イマージュの生と死』Vie et mort de l'image(1992)、『誘惑する国家』L'Etat séducteur(1993)など哲学・文学・メディア論の分野でも活躍している。

[瓜生洋一]

『谷口侑訳『革命の中の革命』(1967・晶文社)』『ドブレ著、谷口侑他訳『革命と裁判』(1969・晶文社)』『ドブレ著、浦野衣子訳『国境』(1968・晶文社)』『ドブレ著、安倍住雄訳『新版 ゲバラ最後の闘いボリビア革命の日々』(1998・新泉社)』『嶋崎正樹訳、西垣通監修『レジス・ドブレ著作選』全4巻(1999~2002・NTT出版)』


ドブレ(Michel Debré)
どぶれ
Michel Debré
(1912―1996)

フランスの政治家。高名な医学者の子としてパリに生まれ、法律を学び参事院判事となった。レジスタンス運動に参加し第二次世界大戦末期からドゴール政府で働いた。第四共和政時代は上院議員(1948~1958)として体制ヨーロッパ統合に敵対し続けた。ドゴールの政権復帰に大いに貢献して国璽尚書(こくじしょうしょ)(1958)、第五共和政下の初代首相(1959~1962)を務め、アルジェリア独立承認などのドゴールの政策の忠実な実行者であった。その後も蔵相(1966)、外相(1968)、国防相(1969)を歴任。1963年下院議員に当選し、1986年まで数回再選。1979年ヨーロッパ議会に選出

[平瀬徹也]


ドブレ(Gabriel Auguste Daubrée)
どぶれ

ドーブレ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドブレ」の意味・わかりやすい解説

ドブレ
Debré, Michel

[生]1912.1.15. パリ
[没]1996.8.2. フランス,アンドルエロアール
フランスの政治家。パリ大学卒業,法学博士。 1938年 P.レイノー蔵相の補佐官として政界入りし,第2次世界大戦中は占領下のフランスでレジスタンス運動を展開。解放後 C.ドゴール将軍と会い,45年ドゴール臨時政府で活躍。 48年上院議員。早くから第四共和政攻撃の論陣で知られ,58年のドゴール復権のため熱心に活動した。第五共和政憲法起草の中心となり,59~62年第五共和政初代首相。 66,68年蔵相,68~69年外相。同年6月「開放」政策を掲げて登場した G.ポンピドー大統領のもとで,純粋・硬派ドゴール主義の歯止め的存在として国防相に就任。 72~73年 P.メスメル内閣でも留任し,フランスの独自の核戦力構築政策を推進した。政界では依然として正統派ゴーリストの位置を占め,共和国連合 RPRのシラク支配体制のなかで異色の存在であった。

ドブレ
Debray, Jules Régis

[生]1940.9.2. パリ
フランスの革命運動理論家。 1958年エコール・ノルマル・シュペリュール (高等師範学校) 卒業。 1960年代初めにキューバを訪問,キューバ革命に強い関心をいだいた。その後ラテンアメリカの革命運動を研究。 65年末キューバ政府に招かれてハバナ大学で哲学を教えた。キューバ革命の経験を理論化し,都市プロレタリアートの革命の機運が熟していなくとも,農村の拠点をもつゲリラ戦によって革命状勢を主体的につくり出しうるとした。革命家のためのテキストとして書かれた『革命のなかの革命』 Révolution dans la Révolution? (1967) が有名。 67年 E.ゲバラのゲリラ戦に参加のためボリビアにおもむいたが捕えられ有罪となったが,70年4月に釈放された。

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