日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドボリャンストボ」の意味・わかりやすい解説
ドボリャンストボ
どぼりゃんすとぼ
дворянство/dvoryanstvo ロシア語
ロシアの士族(ドボリャニン)の総称。当初、クニャージ、ボヤール、修道院など聖俗の封建領主が、非自由人を含む家人層を従兵、所領管理の補佐人などとして養っていたが、そのなかの上層のものが13世紀ごろから、地位の上昇によって士族身分を形成した。彼らは主人から軍役の代償として封地(ポメスチエ)を与えられた。15、16世紀モスクワ大公のロシア統一を助け、16世紀後半に大公国の有力な社会層となった。17世紀末にはボヤールとの区別がなくなり、貴族一般をさすようになった。農奴の独占的所有者となり、18世紀にはツァーリ権力と一体になり、彼らの黄金時代となった。農奴解放後も勢力をもっていたが、ロシア革命によりその特権を喪失して消滅した。
[伊藤幸男]