ドミニカ連邦(読み)ドミニカれんぽう(英語表記)Commonwealth of Dominica

改訂新版 世界大百科事典 「ドミニカ連邦」の意味・わかりやすい解説

ドミニカ連邦 (ドミニカれんぽう)
Commonwealth of Dominica

基本情報
正式名称ドミニカドミニカ国)Commonwealth of Dominica 
面積=751km2 
人口(2009)=7万人 
首都=ロゾーRoseau(日本との時差=-13時間) 
主要言語=英語 
通貨=東カリブ・ドルEast Caribbean Dollar

カリブ海小アンティル諸島に位置する島国。北隣にはフランス領のグアドループ島が,また南隣には同じくフランス領のマルティニク島がある。ドミニカ島は火山島で,山がちの地形には多くの滝や温泉湖があり,山間部をおおう熱帯雨林では自生する植物の種類も多く,島全体が〈カリブ海の植物園〉と称される。総人口の90%以上がアフリカ系黒人とその混血で占められる。またカリブ海諸島の先住民カリブが現存する唯一の国として知られる。公用語は英語であるが,フランス語系のクレオール語が広く用いられる。宗教は人口の7割程度がカトリックで,ほかに英国国教会,メソディスト等がある。

 1493年11月3日の日曜日(ドミンゴ)にコロンブスによって〈発見〉されたので,ドミニカ島と命名された。その後イギリスとフランスが領有をめぐって抗争を繰り返したが,1805年にイギリスに帰属。1967年内政自治権を獲得してイギリスの連合州となった。77年,制憲議会が開かれ独立問題が具体化し,翌78年7月のイギリス議会の承認を経て,同年11月3日独立を達成した。米州機構国連IMF等の国際機関およびカリブ共同体に加盟している。大統領を元首とする共和制であるが,実権首相にあり,議院内閣制をとっている。議会は21名の公選議員と9名の大統領任命議員から成る一院制。東カリブ諸国機構に加盟しており,通貨は東カリブ中央銀行の発行する東カリブ・ドルである。また司法は東カリブ裁判制度に属する。独立後も経済状況が好転しなかったため一時政情不安となったが,1980年にドミニカ自由党のユージニア・チャールズがカリブ海地域で初めての女性首相に選ばれ,ハリケーンの被害などにもかかわらず1995年まで政権を維持した。その後1995年の選挙で統一労働者党が勝利し,エディソン・ジェームズが首相に就任した。

 主要産業は農業で,バナナ,ココナッツ,ライム,グレープフルーツ等の熱帯農産品を産出し,特にバナナは輸出の2分の1を占めるが,天候に左右されるなど生産は不安定であり,主な輸出先であるEUが優遇措置撤廃を検討するなど,非バナナ産業の育成が急がれる。山地が多く,未開発の森林や水力資源に恵まれているが,平野部が少ないことなどから観光開発など産業の多角化は必ずしも進んでいない。1995年の1人当り国民総生産は2990ドルであった。貿易は旧宗主国のイギリスの比重が最大。毎年大幅な入超でイギリスの経済援助に大きく依存している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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