ナギャグ鉱(読み)なぎゃぐこう(その他表記)nagyagite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナギャグ鉱」の意味・わかりやすい解説

ナギャグ鉱
なぎゃぐこう
nagyagite

古くから知られていた金の鉱物化学組成が一定せず、それが金含有量と関係したこともあって、長い間謎(なぞ)となっていた。1999年、金(Au)とテルル(Te)との間の置換関係が確認され、原子配列は[Pb(Pb,Sb)S2]層と[Au,Te]層との規則的集積で成立するという解釈が正当化された。後者の単一層の間では、ある幅で金とテルルの間の任意置換が成立する。浅熱水性の金、銀鉱脈鉱床中に自然金テルル鉛鉱、閃(せん)亜鉛鉱などと産する。自形正方に近い板状。結晶外形は単斜の対称。命名はルーマニアの原産地ナギャグNagyágにちなむ。

加藤 昭]


ナギャグ鉱(データノート)
なぎゃぐこうでーたのーと

ナギャグ鉱
 英名    nagyagite
 化学式   [Pb(Pb,Sb)S2][Au,Te]
 少量成分  Ag,Fe
 結晶系   単斜(擬直方)
 硬度    1~1.5
 比重    7.5(最大測定比重)
 色     黒鉛灰
 光沢    金属
 条痕    黒鉛灰
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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