なだれ(雪崩)(読み)なだれ

百科事典マイペディア 「なだれ(雪崩)」の意味・わかりやすい解説

なだれ(雪崩)【なだれ】

山の斜面積雪が何らかの原因で急にくずれ落ちる現象。全層なだれ(そこなだれ)と表層なだれ(うわなだれ)に大別される。前者は積雪の全層がくずれるもので,地面に近い層が寒地では再結晶してさらさらの雪の粒に,暖地では氷の粒にそれぞれ変化して支持力が失われて起こる。後者には,降雪が積もるに従って重さを増加し支持力が伴わなくなって起こる新雪表層なだれ(厳寒大雪のときによく起こり被害が大きい),積雪のある厚さの層が落盤状に落ちこんで起こる板状なだれ,積雪層が春の強い日射で表層から湿潤ざらめ雪に変質し支持力が弱化して起こる湿潤表層なだれなどがある。なだれの衝撃力は,小さなものでも1m2当り1.5t,大きなものは3.3tにも及び,毎秒50m程度の風を巻き起こすこともある。
→関連項目雪庇

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「なだれ(雪崩)」の意味・わかりやすい解説

なだれ(雪崩)
なだれ
avalanche

山腹に積もったが,それ自身の重みで斜面を大量に崩れ落ちる現象。なだれ(雪崩)には二つの種類がある。一つは,積雪のある傾斜地に新たに粉雪が多量に降った場合,強い風や衝撃によって新雪の表層が滑り落ちる表層なだれである。風なだれ,新雪なだれなどといい,地方によっては,「アワ」「アイ」「ホウ」などともいう。もう一つは,傾斜地に積もった根雪底部春季地熱によって溶け,水分を多量に含んだ重量によって全層にわたってなだれる全層なだれ(底なだれ)である。春先,南風が強く気温が比較的高い日に発生することが多い。全層なだれは特に危険で,家屋,道路,鉄道,山林などに大きな被害を与えることがある。

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