日本大百科全書(ニッポニカ) 「なでしこ銘柄」の意味・わかりやすい解説
なでしこ銘柄
なでしこめいがら
上場企業のうち女性の活用に積極的に取り組み、業績向上につなげている企業。サッカーの日本女子代表チーム「なでしこジャパン」にちなんだ名称で、経済産業省と東京証券取引所が2012年度(平成24)より上場企業のなかから選定・発表している。女性の活躍を促すことで、人口減少時代の就労人口を維持するだけでなく、女性が働きやすい環境をつくることは多様な人材を生かし生産性を高めることにつながるとの概念に立脚して始まった制度である。なでしこ銘柄を発表して広く一般に周知することで、女性をはじめとした個人投資家を株式市場へ呼び込むねらいもある。
なでしこ銘柄は、(1)女性の管理職・役員比率などの女性登用度、(2)法定を上回る育児休業制度やフリータイム勤務制度の導入など、仕事と家庭を両立できる制度の充実度、(3)株主資本利益率(ROE)などの財務指標の健全性、などを参考に、有識者で構成する選定基準検討委員会が業種ごとに選定している(2021年度の選定は50社)。当初、東証一部の上場企業のなかから選んでいたが、選考の裾野(すその)を広げ、より多くの企業を表彰するため、2015年度からは東証二部、マザーズ、ジャスダックの上場企業に対象を拡大した。また、2022年(令和4)の東証市場再編以降は、新市場区分に上場している全企業を対象としている。おもに、なでしこ銘柄に選ばれた企業の株式を組み込んだ、投資初心者の女性向けの投資信託を「なでしこファンド」とよぶ。
[矢野 武 2023年3月17日]