日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニコメディア」の意味・わかりやすい解説
ニコメディア
にこめでぃあ
Nicomedia
紀元前265年ごろ、ニコメデス1世Nicomedes Ⅰ(在位前279ころ~前250)によって、小アジア北西部に建設されたビティニア王国の王都。現イズミット(トルコの港湾都市)。ヘレニズム文化を取り入れたギリシア風の都市で、住民は北の都市アスタコスから入植したギリシア系市民が中心であった。周辺に肥沃(ひよく)な土地をもち、良港にも恵まれ、交通の要地に位置したため商業の中心地として大いに繁栄した。ローマ領となってからも属州の中心であったが、しばしば地震に襲われ、また紀元後256年から翌年にかけてゴート人の略奪にもあっている。しかしそのつど復興し、豪壮な建物に飾られ、ディオクレティアヌス帝治下では東西に分割された帝国の東方の首都となった。
[田村 孝]