マルマラ海(読み)マルマラかい(英語表記)Marmara

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルマラ海」の意味・わかりやすい解説

マルマラ海
マルマラかい
Marmara Denizi

ボスポラス海峡ダーダネルス海峡に挟まれた小内海。ボスポラス海峡で黒海に,ダーダネルス海峡でエーゲ海に通じ,トルコのアジア側とヨーロッパ側とを分けている。古代ではプロポンティス海と呼ばれた。東西全長 280km,南北の幅が最も広いところで 80km。面積は 1万1350km2にすぎないが,平均深度は 494m,中心部では深度 1355mにも及ぶ。塩分は平均 22‰で,強い海流はない。新第三紀末から第四紀更新世前期の地殻変動によって形成されたもので,地震の多発地帯である。二つの島嶼群があり,イスタンブールに近いクズル諸島はおもに行楽地である。もう一つは南岸のカプダウ半島に近いマルマラ諸島で,花崗岩粘板岩大理石からなり,古くから大理石の石切場があったことから,大理石を意味するギリシア語の marmarosがマルマラ海の名の由来となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルマラ海」の意味・わかりやすい解説

マルマラ海
まるまらかい
Marmara

トルコ北西部、アジアとヨーロッパを隔てる内海。北東はボスポラス海峡によって黒海に、南西はダーダネルス海峡によってエーゲ海に通じる。東西約280キロメートル、南北約80キロメートル、面積約1万1400平方キロメートル。東にイズミット湾、西にエルデック湾などの湾入があり、南にはカプーダーウ半島が突出し、西にマルマラ島やアブシャ島、東にプリンセス諸島(トルコ名クズル諸島)などが浮かぶ。陥没によって生じた内海であり、最大水深は1350メートルに達する。イスタンブール港などを拠点に往来する内外の船舶は多く、一方、イワシカツオ、タイなどの漁獲もある。気候が温和なため、島や沿岸には保養地が発達し、タバコ、オリーブ、ブドウなどが栽培される。また、イスタンブールやイズミットでは臨海工業地帯の発達がみられる。

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