本来は①の意。中世後期には③の意が生じる。「大坂繁花風土記」によれば、「田舎」の意の「在所」は京都では使わず大阪で用いられること、「近隣の田舎」という意味で「田舎」とは区別されたことなどが記されている。→「ざいごう(在郷)」の語誌
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…《山家集》の〈ところにきはふ〉,《太平記》の〈所の地頭強うして〉,さらに降って所質(国質・所質),所払の〈所〉もこれで,民俗語彙のトコログミも同じである。所は〈在所〉にも通じ,江戸時代以降,都を離れたいなかを意味するようになるが,さかのぼって《塵芥集》の〈在所〉は門・垣をめぐらし,竹木で囲まれた家・屋敷でアジール的機能をもつと解しうるので,中世の所についても,同様の性格を備える場合が少なからずあったと見てよかろう。【網野 善彦】。…
…【木村 礎】
[〈むら〉と村]
農山漁村における基礎的な地域社会としてのむらはその構成員である各家の維持存続に不可欠な共同組織であり,通常むら内の居住者は相互に面識関係がある。自分たちのむらのことをザイショ(在所)とかジゲ(地下)と呼ぶ地方もあり,また近代の行政用語でク(区)といったり,ブラク(部落)と称することも多い。むらは,《古事記》に〈伊幣牟良〉(いへむら)と出てくるように,もともと家々の集合の意味であった。…
※「在所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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