ネコヤナギ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネコヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ネコヤナギ(猫柳)
ネコヤナギ
Salix gracilistyla

ヤナギ科の落葉低木で,カワヤナギまたはエノコロヤナギともいう。アジアの温帯に広く分布し,日本各地の山地渓流水辺平地川岸などに生え,人家の庭にも植えられている。高さ 2mほどで,根もとから多数分枝する。葉は長楕円形ないし披針形で,縁に微細な鋸歯がある。新葉には初め絹毛が密生するが,のちに上面は無毛となり,下面は絹毛が残って灰白色を帯びる。雌雄異株早春に,新葉より先に尾状花序をなして,多数の無花被の小花をつける。花序には白銀色の絹毛が密生して美しいため,生け花に用いる。雄花はおしべ1本で基部に蜜腺が1個あり,雌花もめしべ1本と蜜腺1個から成る。本種は日本に自生するヤナギのなかで,最も早く開花する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネコヤナギ」の意味・わかりやすい解説

ネコヤナギ
ねこやなぎ / 猫柳
[学] Salix gracilistyla Miq.

ヤナギ科(APG分類:ヤナギ科)の低木。葉は革質、裏面灰色で絹毛がある。早春、葉が出る前に花穂を出す。雄しべは2本、花糸は合着する。雌しべは花柱が子房より長く、柱頭は短い。腺体(せんたい)が1個ある。包鱗(ほうりん)は白毛を密生する。水辺に生え、日本全土に分布する。朝鮮半島、中国東北部、極東ロシアにも見られる。名は、銀白色の花穂をネコの尾に見立てていう。

[菅谷貞男 2020年7月21日]


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