カトマンズ(読み)かとまんず(英語表記)Kathmandu

翻訳|Kathmandu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カトマンズ」の意味・わかりやすい解説

カトマンズ
Kātmāndu

ネパールの首都。ネパール中央部,バグマチ地方の南寄りに位置する。インドのビハール州北西端にある国境の町ラクソールから東北東 90km,ヒマラヤ山脈とその前山マハバーラトレク山脈との間のカトマンズ盆地内にあり,標高 1324mのバグマチ川とビシュヌマチ川の合流点に位置する。723年建設。長い間マルラ朝の首都であったが,18世紀にグルカー朝(→グルカー族)の手に落ちて以来ネパールの首都とされた。商業が盛んで,かつてはチベットにも商圏を広げていた。ネパール全域の商業の中心。市内には多くの宮殿や,仏教,ヒンドゥー教の寺院がある。旧市街は街路が狭く,煉瓦造りの 2~4階建ての家屋が密集しているが,1934年の大地震後に再建された区域は道幅も広く,建物は近代的。1979年ラリトプールパタン),バクタプール(バドガオン)などとともに,世界遺産の文化遺産に登録。国際空港が市の東 5kmにある。またインドのラクソールからネパールのビルガンジに入り,マハバーラトレク山脈を越えるトリブバン道路も通じる。2015年4月25日に発生したカトマンズ北西約 80kmを震源とするマグニチュード7.8の地震によって大きな被害を受けた。人口 100万3285(2011)。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カトマンズ」の意味・わかりやすい解説

カトマンズ
かとまんず
Kathmandu

ネパールの首都。この国の政治、文化、商業、空陸交通の中心地である。人口67万1846(2001)。古くからネパール谷とよばれてきた盆地の中心にあり、周囲を山に囲まれている。ガンジス川の一支流バグマティ川の右岸、標高1350メートルに位置する。古名をカンティプルといい、中世のマッラ王朝(13~18世紀)の時代に発展した。王朝分裂後もパタン、バドガオンとともにマッラ三王国の一つとして繁栄し、18世紀後半ゴルカ王の侵入と統一後は、ゴルカ(シャハ)王朝の国都となり、現在に至っている。盆地の先住民はチベット・ビルマ語系のネワール語を母語とするネワール人で、その工芸や商才にたけた能力は、今日まで歴史的建造物や都市計画を残している。旧市の中心は古い寺をもつダルバール広場で、タレジュ寺、破壊の神カーラ・バイラブ、九重の塔をもつハヌマン・ドーカ旧王宮、生き神様クマリ(ネワール人の娘から選ばれ、初経初潮〉をみるまで務める)の住む寺などがある。市の東郊にヒンドゥー教の聖地パシュパティ・ナート寺、北東郊外にチベット仏教のボードナート寺、西方の丘上にチベット仏教の大塔や寺、ヒンドゥー教の寺をあわせもつスワヤンブナート寺があり、巡礼者が絶えない。これらの歴史的文化財とヒマラヤ登山の入口にあたるため、国際観光都市として名をあげている。またネパール近代化の中心地として、バラジュの工業団地をはじめ、いくつかの工場も建設された。

[高山龍三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android