ノルデ(読み)のるで(英語表記)Emil Nolde

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノルデ」の意味・わかりやすい解説

ノルデ
のるで
Emil Nolde
(1867―1956)

ドイツの画家本名Emil Hansen。シュレスウィヒノルデに生まれる。フレンスブルクの彫刻学校を卒業後、スイスのザンクト・ガレンで工芸学校の教師となる。1898年以後ミュンヘン、パリ、コペンハーゲン絵画を学び画家に転じた。印象主義から出発してこれを乗り越え、表現主義的な独自の画風を樹立した。1905~07年ドレスデンに住み、一時表現主義のグループ「ブリュッケ(橋)」の客員となったが短期間で別れ、生涯孤独の探究を続けた。14年シベリア経由で極東、日本、東南アジアを旅行。第一次世界大戦後はベルリンとゼービュールで制作したが、ナチスにより退廃芸術として弾圧された。鮮烈な色彩と幻想味豊かな宗教画、風景画、花の絵を得意とする。水彩画および版画の作品も多い。ゼービュールで死去住居はノルデ美術館となっている。

[野村太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノルデ」の意味・わかりやすい解説

ノルデ
Nolde, Emil

[生]1867.8.7. シュレースウィヒ,ノルデ
[没]1956.4.13/15. セーブル
ドイツの画家,版画家。本名 Emil Hansen。ドイツの表現主義絵画を代表する画家の一人。初め木彫を学び家具と装飾のデザインをしたが,絵画に転じ,ゲルマンの土俗的なファンタジーを表現して注目された。 1906年「ブリュッケ」に加盟したが,1年後グループを離れて孤高の道を選び,最も充実した作品の時代を迎え,『最後の晩餐』 (1909) ,『子供たちとキリスト』 (10,ニューヨーク近代美術館) ,『黄金の子牛をめぐる踊り』 (10) ,リトグラフダンサー』 (13) など,表現主義のすぐれた作品を残した。ナチス支配下で退廃芸術の烙印を押された一人。

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