ハイジャックすなわち航空機の乗っ取りを処罰するための国内法で、正式名称は「航空機の強取等の処罰に関する法律」(昭和45年法律第68号)である。日本には、ハイジャック防止対策のための立法として、本法のほか、「航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律」(昭和49年法律第87号)と「人質による強要行為等の処罰に関する法律」(昭和53年法律第48号)がある。
1960年代以降ハイジャック事件が世界的に頻発するに至り、これに対処するための国際条約として、1963年の「東京条約」、1970年の「ハーグ条約」、1973年の「モントリオール条約」がそれぞれ発効した。日本でも、1970年の「赤軍派」による日航機「よど号」乗っ取り事件を契機として、同年8月に東京条約の加盟国となるとともに、国内法としても本法が制定された(なお、日本は1971年10月にハーグ条約の加盟国となり、モントリオール条約も1974年7月から国内法として施行された)。
ハイジャック処罰法は全文5条からなる。その第1条1項は、暴行・脅迫等により航行中の航空機を強取し、またはほしいままにその運航を支配した者を無期または7年以上の懲役に処し、第2条は、前条1項の罪により人を死亡させた者を死刑または無期懲役に処するとともに、第1条2項および第3条は第1条1項の罪の未遂犯およびその予備罪をも処罰している。また、同法第4条は、偽計または威力を用いて航行中の航空機の針路を変更させたり、その他、その正常な運航を阻害した者も1年以上10年以下の懲役に処している。なお、第5条により本罪の国外犯も処罰される。
[名和鐵郎]
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